着床前診断

 
再び受精卵診断15組に実施 神戸の産婦人科(朝日新聞)
受精卵診断の大谷院長が会見「今後も続ける」(朝日新聞)

うち5組に対しては9種類の染色体異常を調べていた。この中には、流産のほかダウン症の原因にもなる21番目の染色体異常も含まれていた。大谷院長は「21番染色体の異常で流産を繰り返していた例が複数あったので、流産を防ぐために検査した。ダウン症の子どもを排除する意図ではない」としている。

 
ニーズがあって実現可能な技術がある。でも利用は禁じられている。
技術が先行する。社会的コンセンサスは得られていない。ガイドライン違反を承知で選択する。
だけど「商業ベース」と非難されても法律で禁止されてるでもないし、
リスクがあることをユーザーが承知でお金があればできるって現実に「生命の選別を許すな」とか言っても
なんだか意味がない気がする。おたがいの相容れなさに、むなしくなってしまう。
 
法的拘束力をもたないガイドラインでは、禁止はむずかしいのでしょう。
でも、軽んじられてはいけないはず。
進む技術に、規制や利用に社会的なコンセンサスを得る必要があっても法律が追いついていけない現状で
ガイドラインというルールが守られなければ、もう「なんでもあり」になってしまうのは困ります。
日本産科婦人科学会の倫理委員会で承認されたとしても、親が、あるいは社会が
子どものスペックを選ぶことには変わらない。羊水検査もある。
生命の選別は認められている。ルールのインかアウトか、それだけのこと。
だからこそルールは守らなければいけない。
どのような理由であれ、医師がそれに反することは許されることではないと思う。
ただそのガイドラインは、患者からみれば“学会の”ルールでしかないようなあり方ではないだろうかとも思う。
望んだほうが悪いと責めるだけでは、このようなことはなくならないのじゃないかな。
患者は急いでいる。年齢的な制限があるでしょうもの。
社会の理解を待ってもいられない。簡単に理解は得られそうにもない。
協力してくれる医師はいる。
結局ルール違反で実施される。それが重ねられてゆく。
 
前回のとき、大谷医院のHPには「治療を続けてほしい」という書き込みがたくさんあったそうですね。
学会除名を巡って訴訟も起こしている。
7月に承認された慶応大のデュシェンヌ型筋ジストロフィーを対象とした受精卵診断のような
特定の疾患を避ける手段としてというのとは違って、習慣性流産のため妊娠維持がむずかしいからというケースに
受精卵選別がどれくらいの効果があるんだろう、ちょっとわからないけれど
それよりほかに不妊“治療”としての選択肢がないなら「やめろ」て言っていいのかな
て気持ちにもなる。これは、やっぱりなってしまう…
だけど、今回はダウン症にかかわる染色体についても調べられている。
流産の要因として重なる部分があるのだとしても「流産を防ぐため」という理由で。
 
受精卵診断を受けても子どもがほしいと切実に願っているひとと、それに賛成できない私たちのあいだには
大きな溝がある。どうすれば埋めることができるだろうと、いつも思う
「あなたには、わからないでしょう」のやりあいじゃなくて。
「いればいるなりの幸せもくるしみもあるし、いなければいないなりの幸せもくるしみもあるんじゃないかな」
と言った私に「そう言えるのは、あなたに子どもがいるからよ」と言ったのは3人の子どものお母さんだけど…
子どもがくれる喜びはたしかにあるよ。
それでも、親を幸せにするために生まれてくるのじゃないでしょ??
子ども自身が幸せになるために生まれてくる。
て、キレイごと過ぎ。こんなこと言うとますます溝は大きくなる、かな…
 
記事を読んで、この大谷医師は先天性異常排除OKな考えのような気がして仕方がないデス。