障害者自立支援法案

 
本格審議スタート。

負担増への懸念相次ぐ 自立支援法案で参考人(共同 2005/05/17)
 
衆院厚生労働委員会は17日、障害者の福祉サービス利用の1割負担などを盛り込んだ障害者自立支援法案について、障害者団体関係者らから参考人として意見を聴いた。身体、精神、知的障害者を一元化して扱うことや国の財政責任の明確化が盛り込まれたことを評価する声の一方、利用者や家族の負担増を懸念する声が相次いだ。
日本身体障害者団体連合会の森祐司事務局長は、障害者本人が自己負担分を払えない場合には、家族に負担を求めている点について「障害者を赤ん坊扱いし、歴史の針を戻してしまう」として、修正を求めた。
全国脊髄損傷者連合会の大浜真副理事長は「(障害基礎年金2級の月額)6万6000円の年金で生活している人から(自己負担分の上限である)1万5000円を取ることになっているが、とてもじゃないが払うのは難しい」と述べ配慮を求めた。

 
朝日新聞(2005.5.13)より。

「働く場なのに利用料を取るなんて自立支援に逆行している」(小規模通所授産施設職員)

「負担の具体的な形が約200の政省令に委ねられている」(共産・山口富雄氏)

「当事者の意見を十分聞かずに拙速に決められた」(民主・園田康博氏)

乏しい基盤
 
審議では障害者福祉政策のあり方も問われる。
全国障害者社会資源マップ03年度版によると、全国の市町村のうち地域で暮らすためのグループホームがない所が73%、働く場となる通所施設も75%がない。
さらに、国立社会保障・人口問題研究所によると、98年時点で国内総生産GDP)に占める障害者への現金給付の割合は0.33%。スウェーデンの6分の1、米国の半分以下という水準だ。
「自立支援」のかけ声の一方で、乏しい施設や予算面での裏づけ。11日の審議で、社民党阿部知子氏はこう指摘した。
「この機会に日本の障害者福祉の根本論も議論するべきだ」

記事によると、厚労省も「審議時間が短かったのは事実だ」と認めているとのことです。
 
聴覚障害者「自立支援法案」対策中央本部決起集会にて採択された緊急アピール(2005.5.5)

障害者自立支援法案における政省令事項について

障害者自立支援法案について厚労省
 
 

http://www.matsuoka-toru.jp/topics/050414-2.html
この事態に厚労省は,1割の利用者負担と給付決定システムを介護保険と同様にすることで利用を抑制し,さらにはサービスの実施責任と財政負担を大幅に市町村に押し付けることをエクスキューズとして,本年度不足分の補正予算への組み込みと支援費の義務経費化(ただしそれは支援費の一部であって他は市町村の裁量に任せ,ゆくゆくは地方交付税による一般財源化,つまりは市町村に責任転嫁する)を財務省に認めさせたのであろう。「障害者自立支援法(案)」は端的に言って"自立支援"どころか"自立阻害"法というほかないが,これは急ごしらえの弥縫策などではなく,政府が70年代以降一貫して追求してきた福祉に対する国家責任の放棄,規制緩和による福祉の市場化という新自由主義の「構造改革」路線そのものであること,また,支援費制度の財源問題は国の社会保障制度全体が抱えている問題の中では相対的にはマイナーな問題であって,社会保障制度の根幹とも言える年金・医療保険がすでに危機的状況に陥っていること,さらには障害者支援費制度の10倍近い規模をもつ介護保険制度も危険信号が点滅していることを忘れてはならない。