医療過誤訴訟の迅速化

 

医療過誤訴訟の討論式鑑定、最高裁諮問機関が疑問(読売新聞 2005.6.15)
 
最高裁医療過誤訴訟の迅速化と専門性向上のために設置した諮問機関「医事関係訴訟委員会」(委員長・森亘東大元学長)は15日、4年間の議論を基に答申をまとめ、最高裁裁判官会議に提出した。
地裁レベルでは審理迅速化の切り札として、複数の医師が1回の審理で意見を述べ合う「カンファレンス(討論)方式」の鑑定を一昨年から導入しているが、答申はこの鑑定方法に疑問を示しており、今後の医療訴訟に影響を与えることも予想される。

答申は、通常の民事訴訟に比べて医療訴訟が長期化する要因として、「医師の側に鑑定人として多くの時間と労力を使うのは無意味だという意識があり、鑑定人の確保に時間がかかっている」と分析。地裁が地元の病院で適切な鑑定人を見つけられない場合を想定し、高裁管内で医師を紹介し合うネットワークを作ることなどを提言した。
一方、東京地裁などが導入したカンファレンス方式については、「1人の医師が鑑定書を作成する従来の方式に比べ、医師の責任が分散し、鑑定の質が不十分になる恐れがある」と指摘した。

同委員会は医師や元裁判官、弁護士ら13人で構成。2001年7月から、検討を続けてきた。

 
医事関係訴訟委員会 答申