障害者自立支援法案と児童福祉法

 
障害者自立支援法で児童の支援はどうなるより

現在、国会で審議中の「障害者自立支援法案」(以下、自立支援法)は、その名称とは裏腹に、障害のある人の命を削り、自立への道を閉ざすものであることが明らかになりつつあります。自立支援法が成立するならば、成人とまったく同様に、18歳未満の子ども(児童)とその保護者にも、福祉サービス利用料、食費、医療費など過重な負担がのしかかります。同時に、自立支援法が児童に適用されたとき、次のような成人とは異なる重大な問題が生じることを見過ごすわけにはいきません。

● 軽減されることのない費用負担
7月になって明らかにされた与党による修正案をもってしても、保護者の収入を基準とする児童の場合、そもそもが、ほとんど「低所得」の対象となりません。かといって若年でかつ共働きが難しいという家計状況にあり、利用料、食費などの実費、医療費の増大は多大な負担となります。
●障害を受けいれる乳幼児期にふさわしくない
自立支援法下の諸サービスを利用するためには、審査を受け、障害程度区分の判定を受ける必要があります。子どもの育ちに不安を抱えつつも、障害という判断がつかない場合、あるいは、なかなか受け入れられない場合などは、サービス利用をためらうことになるでしょう。その上、費用負担となれば、なおさら医療や福祉から足が遠のきます。
●発達期にある児童の育成医療や補装具の特性を無視
そもそも育成医療は、放置しておくと障害を残す疾病に対する医療という性格をもっており、現行の応能負担主義は費用負担を理由に医療が受けられないという事態を未然に防ぐ役割を果たします。乳幼児期は一般に医療費のかかる時期であり、障害ゆえに医療費が余計にかかることは避けられないにしても、その額は最小限に抑えられるべきです。また、発達期にある子どもの補装具は大人以上に作りかえなければなりません。
●「障害程度区分」による判定のかかえる問題
乳幼児期は障害が疑われる場合でも、その判断は大変むずかしく生育環境とのかかわりや被虐待などの背景を吟味する必要があります。全国一律のチェックでは子ども一人ひとりに必要とされるケアが明らかにされないばかりか、障害が見落とされ、対応が遅れるケースが続出するでしょう。
●契約制度移行と「個別給付」化が招く不安定な施設運営
利用契約制度に移行することによって、通園施設は支援費制度のもとでの児童デイサービスと同様に、措置費から、一日ごとの現員による利用料収入に移行することになります。乳幼児期の体調の不安定さや通院などによる欠席は、すべて施設運営費の減額につながります。利用料単価が公にされていない現状ではいっそう不安が募ります。
●通園施設の第二種事業化
通園施設は自立支援法の「障害福祉サービス」に組み込まれ、第二種事業として、株式会社などの民間資本の参入が可能になります。通園施設での子どもへの指導や親、家族への援助は、利潤追求になじむものではなく、公的責任で実施すべきものです。

自立支援法が児童と保護者に与えるであろう影響は、ここに記した以上であると考えられます。これらの問題点は「児童が心身ともに健やかに生まれ育成される」ことを目的とする児童福祉法の趣旨に反するものです。よって、今後の自立支援法の審議において、児童福祉法関連条項を切り離し、児童福祉審議会などで時間をかけて検討することを要望するものです。
       2005年7月17日
障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会 集会参加者一同

児童福祉法新旧対照表
 
すごくわかりにくい。
小児慢性特定疾患治療研究事業は21条9の2に基づきます、それに対して批判もあります…
 http://d.hatena.ne.jp/arcturus/20050418
どう考えればいいんだろう。
 
児童福祉法