社会復帰という言葉には「退院」と同義語以上の意味はない

 
♪3足わらじで福祉を考える♪ より。

http://d.hatena.ne.jp/jasmine156/20050629/p1
私たちの活動は2つの柱で成り立っている。1つは作業プログラムであり、今ひとつは就労支援である。それらのプログラムを支える個人の背景にある利用者の基本的生活の支援にいつも注意を向けてきた。あらゆる個人の活動は基本的生活の安定のうえになり立っているという当たり前のことに最大の配慮をし続けてきた。この生活支援がなければ、日課資源を主体的に利用し、就労の希望をかなえる方向に導くことは困難である。あらゆる活動の原点に生活支援は欠かせない課題として考えてきた。ここに、ケア・センターの名称の由来がある。

http://d.hatena.ne.jp/jasmine156/20050701/p3
第二波は、退院促進を目指した『社会復帰』と当事者の社会的復権を目指した『人権』を2本の柱として精神保健法が成立した1987(昭和62)年以降である。社会復帰施設が新設され数値目標を掲げた障害者プランを示すという画期的な施策によって、いよいよ地域精神保健が始まると期待されたが、その後再び精神科病床は増え、6割を越す社会復帰施設は病院の付属施設化し、入院中心医療から外来中心医療へのかけ声は、入院中心をそのままに、外来医療と結びついて社会復帰施設利用者の抱え込みが常態化し、地域活動を精神医療の中心化に治め、社会復帰施設は新しく機能分化した病床と化している。デイケア・ナイトケアの外来医療は新しいタイプの昼間入院システムとなっていると、外国から来た精神科医から指摘されている。これが外来クリニックでも拡大しているのだから、医療に世話され管理される当事者は増えつづけていることになる。なにせ、精神保健法成立前の病床数に15年たった今もなっていないことは驚愕に値する。

http://d.hatena.ne.jp/jasmine156/20050630/p1
社会復帰という言葉には「退院」と同義語以上の意味はない。それを社会で使っていると、いつまでも生活者としての立場は獲得されない。生涯社会復帰施設を利用し続けた人は、社会復帰できないで一生を終えた人となる。社会復帰の意味には人それぞれの違った価値観が込められ、ゴールはまちまちであり、時に変化し続ける。そのために当事者は結局のところ近づくことができず、ダメな人、半人前という差別が生じてしまう。退院して社会参加しているのに、多くは経済的自立ができていない、平均的国民の生活様式に達していない社会復帰の途上にあると評価している。これらは本人に強い劣等意識をもたせ、周囲は精神障害という属性でむずかしい人たちと見続ける。これはもうやめにしよう。社会復帰施設は「社会参加施設」と変えてしまうべきである。

http://d.hatena.ne.jp/jasmine156/20050703/p2
地域生活支援センターの最も未熟な活動は、社会復帰施設に付置され、付置施設の機能補完以上に役割を果たしていないところである。利用者は付置施設と設置機関の利用者に限定され、管理と安全に終始する活動には個別支援の未来に向かう支援活動はみられない。施設化は病院の特権であったはずが、そこからようやく退院した社会復帰施設で再び規則と集団生活、画一的支援で単調化され、代理行為が日常化し、ミニデイケアのように日課プログラムさえもってしまう。利用者には困難者が多いことを理由としてパターナリズムさえ認められているところがある。この生活支援では依存を強化こそすれ自立化にはほど遠い支援が続いている。このような地域生活支援センターには責任圏域などという考えはなく、ゆえに自分たちが頑張らねばと完結主義を深めていくばかりである。

http://d.hatena.ne.jp/jasmine156/20050705/p1
生活支援は利用者に良質な医療を届け、服薬遵守プログラムを提供するなどして、精神病の再発を防ぎ、不必要な入院を回避させ、生活が中断されない支え方が基本である。就労支援は有給の仕事を基盤とし福祉就労を最小化させる支援プログラムをもつことである。社会化のための活動プログラムと各種教育プログラムは常に工夫されながらもっていなければならない。これらを求めるとなると包括的支援の必要性がみえてくる。しかし、決して抱え込んだ関係でないことが重要である。利用者に希望があること、自尊心がもてること、所属感・帰属感があり、命に関わらない範囲の経験重視、試行錯誤に寄り添う支援が必要である。小さな成功体験の蓄積は、達成感を得て自立へと向かわせることになる。これらを基本原則として活動するかぎり生活支援は利用者に役立つ活動となるに違いない。

精神医療は、その枠組みに取り込まれてしまえば、ぜんぜん中身が見えない感があります。
おそろしく乱暴とは思うけれども。だから依存してしまう、医師に、あるいは薬剤に…
けして生活支援の整わないなかで「自立」を求められ、心神喪失医療観察法が施行される。
ただ追い詰めることにしかならないのじゃないかと思えてなりません。本人も家族も。いま以上に。
http://d.hatena.ne.jp/arcturus/20050628#p1