晴れ着

arcturus2006-07-15

 
拝見しました。

その人が、正義の実現を訴えるために、自ら晴れ着で待っていたのである。国や県の役人は、彼女の声が直接裁判官に届くのを阻もうとしていたのだ。
法学者や哲学者が饒舌に喋り散らす正義ではない、胸に突き上げるような正義への訴えがここにある。
 
晴れ着(ララビアータ)


ん、晴れ着て、ちょっとヨリシロ的だな…
番組は観ませんでしたけれど一株運動を思い出しました。
後藤孝典さんが提案したこの運動に、「楽しみもなからにゃいかんでな、そりゃいっちょやろうじゃなかろか」と原告の患者さんたちは賛成したけれど、弁護団は反対だったそうです。

水俣病訴訟を担当していた弁護団が一株運動に反対する姿勢を打ち出し、弁護団見解を公表し患者の説得にかかった。弁護団の言い分は、要するに、一株運動では具体的成果を得ることはできない、裁判に替わりうるものではない、という点にあった。しかし患者達は株主総会へ乗り込む姿勢を変えようとしなかった。「告発」*1弁護団に反論を加え、賠償金をとってもなお残る患者の思いに表現を与える場として株主総会を設定するのだと主張した。私としては、自分のなかの最も私的なものに根ざさない限り自分の再生はないと考えていたから、弁護団と論争する気にもなれなかった。


沈黙と爆発 ドキュメント「水俣病事件」 (SHUEISHA NONFICTION)

 
1970年9月28日チッソ株主総会へ。揃って御詠歌の練習までして、熊本から白装束での巡礼。
会場2階席の端から端まで“怨”の黒旗が下げられ線香がたかれ怒号とすすり泣きが渦巻く。
もうすごいぐちゃぐちゃもみくちゃで、読んでて圧倒されてしまいます。
この振る舞いは、「私利ではなく正義」だったのかな、わからない…
 
 
病身を包む晴れ着、白装束。
狂気と、そう遠くないようにもみえる。うまく言えない、とてもせつない。
 
 

*1:水俣病を告発する会」が発行していた機関紙です。