パキシル

 

抗うつ薬パキシル使用上の注意を改訂 18歳未満の大うつ病性障害患者は禁忌(2003.9.3.)
 
グラクソ・スミスクライン(GSK)はこのほど、抗うつ薬パキシル」(一般名=塩酸パロキセチン水和物)の使用上の注意を改訂し、医療機関に対して本格的な情報提供を開始した。これは18歳未満の大うつ病性障害患者を禁忌にするよう求めた8月12日の厚生労働省の指示に
対応した措置。
同社は18歳未満の患者に対する処方は専門診療科で行われるケースが多いことから、とくに精神科や心療内科を中心に情報提供を急いでいる。

うつ病性障害は、米国精神医学会が規定した基準に基づいて診断されるうつ病の一種。
うつになった原因を特定できない事例が多いのも特徴のひとつとされている。
英GSK本社は、大うつ病性障害患者への適応拡大をねらい、7〜18歳の小児を対象とした複数の2重盲検プラセボ比較試験を実施した。パキシルを18歳未満の大うつ病性障害患者に投与したところ、自殺に関連する有害事象が2%以上の発現頻度で発生。実際に死に至った自殺事例はなかったが、プラセボと比べると自殺リスクが2倍に増えることがわかった。
このため、GSKの報告を受けた英国規制当局は6月に該当患者への投与を禁止。米FDA厚労省も具体的な検討に乗り出した。

厚労省は禁忌としたが、FDAは明確に禁忌とはしておらず、添付文書改訂を含め検討中。同社は、今月末までにパキシルを使用している医療機関への情報提供を完了させる方針。
うつ病性障害以外の適応であれば、18歳未満でも投与できることや、急激に投与を中止すると症状が悪化する可能性もあるため、中止する際は徐々に減量するように求める。
パキシルの2002年の国内売上高(薬価ベース)は約230億円。
GSKは「薬剤の有用性が否定されたわけではない。適切に情報提供できれば、売り上げに大きな影響はない」と分析、今年度の目標額(非公開)も修正はしていないという。


抗うつ剤で自殺の危険増 18歳未満への投与禁止(2003.10.21)
 
うつ病の第一選択薬として広く使われている塩酸パロキセチン水和物(商品名パキシル)の副作用で、思春期の重いうつ病患者に自殺の危険が増すことが分かり、厚生労働省は20日までに、18歳未満の大うつ病性障害患者への投与を禁止するよう輸入販売元に添付文書の改定を指示した。急に投与を中止すると知覚障害などの症状が出る危険性が高まるため、徐々に薬を減らすよう注意喚起している。

パロキセチンは、医師が処方する薬。グラクソ・スミスクラインが輸入販売している。
同社によると、グラクソ本社(英国)はパロキセチンの小児への適用拡大を狙い、7−18歳の合計1000人以上を対象とした臨床試験を英国で実施した。ところが、重いうつ病である大うつ病性障害患者378人に投与した場合、有効性が確認できなかったばかりか、5・3%に自殺を考えたり、企てるなどの有害事象が発生。
偽薬を投与した285人では、2・8%だったのに比べ、リスクが2倍近くに増えることが分かった。