認知症

 
この記事おもしろい。

緊急調査:「痴呆」に替わる言葉、「認知」「記憶」「脳機能」含む用語が上位に(日経 2004.8.27)
 
厚生労働省は6月、「痴呆」に替わる用語に関する検討会を設置し、用語変更へ向けた検討を始めた。これを受け、MedWaveでは、会員の医療関係者に意見をうかがい、その結果をもとに新たな用語を提案することを企画した。7月14日から30日までにweb調査を実施。280人の協力が得られた。本日は、「痴呆」に替わる言葉として具体的にどのようなものが候補に挙がったのかを報告する。

調査ではまず、「痴呆」という用語を替えることへの賛否を尋ねた。その結果、「賛成」107件、「反対」114件、「分からない」58件となった(図1)。アンケートの実施前の予想とは裏腹に、「反対」が40.9%で、「賛成」(38.4%)と拮抗していた。
「賛成」と回答した人で、具体的な用語を挙げたのは80人ほどだった。その中で特に目立ったのは、「認知」「記憶」「脳機能」のキーワードを含む用語。また、単独でもっとも多く挙がったのは「ディメンチア」だった。

「認知」をキーワードとする用語を挙げたのは10人。具体的には、認知障害、認知失調、認知行動不全などが含まれ、「認知障害」が5件と多かった。
用語と提案理由の主なものは以下の通り。
◆認知機能失調症:自律神経失調症統合失調症など一連の緩和された言い換えの流れに添ったもの。
◆認知機能障害:病気であることを示すために、症状を示す用語の痴呆ではなく、「認知機能障害」が適切と思われる。
◆認知機能低下症:一部の機能低下であるとの意味から、全的な人としての偏見に繋がりにくい。
◆認知行動不全:根源の部分、その人の人格や過去を否定するようないい方は避けたい。また、認知部分・認知から判断の部分、判断から行動の部分の、どれが障害を受けているのかによって 対処も症状も違うと思うので、分けられる表現があればなおいい。
認知障害:痴呆はその個人の性格によるものではなく、だれもがなる可能性のある、ひとつの疾患であることを前面に出した呼称がふさわしいと思う。
 
「認知」に並んで目立ったキーワードが「記憶」。やはり10人近くが挙げたが、具体的には「記憶機能障害」「記憶失調」「記憶障害」「記憶不全症候群」などだった。
主な用語と提案理由は以下の通り。
◆記憶機能障害:短期の記憶から徐々に長期の記憶も失われることが主症状だから。
◆記憶失調:人格を否定するようなものではなく、あくまで病的な状態を意味する用語が望ましいから。
◆記憶失調:痴呆の状態は衝撃的で本人、家族にとっては受け入れる、または納得するまでには様々な葛藤があると思う。メンタルな部分で少しでも和らげるイメージを受けられるのではないかと思う。でも、現実はかなり厳しい状況である事に変わりはないのだが。
◆記憶障害:痴呆そのものが悪いというのではなく、日常生活において問題になるところがわかる用語を使用すればいいのではないか。
◆記憶障害:統合失調症のように病体を的確に表す表現がよいと思います。
◆記憶認知障害:患者、介護者が希望を持てるようなソフトな用語、どこに障害があるのかわかる(余計なイメージを持たないような)用語が良いと思います。
◆記憶不全症候群:記憶障害が中心にあるが、他の周辺症状にも異常が起こるという意味で症候群。記憶という言葉自体は「覚えるのが苦手」「記憶力が悪くて」など普段から使われておりそれほど抵抗感がないのではないか。

このほかには、脳機能障害や脳機能低下症、脳高次機能障害や高次脳機能低下症など、「脳機能」をキーワードにするものも10件近くに上った。主な用語と提案理由は以下の通り。

◆高次脳機能失調症:痴呆症は記憶障害を中核とするが、他の高次脳機能が異常を来たす疾患であることから。ただ、これまでの痴呆症だけでなく、回復可能な疾患群も含まれてくると思う。治療法が見出されてくることも期待して。基本的には痴呆症には色んなものがあり、その疾患名(アルツハイマー病など)と個別に診断を下すべきであると考える。
高次脳機能障害:疾患を個人から切り離した形で呼称できるから。
◆高次脳機能低下症:痴呆は精神発達遅滞と異なり、一度獲得した高次脳機能の後退を示すものであるから。
◆脳機能障害:老化に伴い、脳の機能障害がおきている状態であり、人によって程度の差もあれば、回復の度合いも違う。現在の状態が、個人の持つどういった機能の障害によって起きているものなのかがはっきりする。また、どのような状態であっても人は「ひと」としての尊厳を大事にしなければいけないという認識を、医師、看護師、ヘルパーなど、治療やケアに携わる人たち、家族、周囲の人たちに持ってもらいたいという思いがある。
◆脳機能障害:痴呆は症候群であり、代替用語はその原因を正確に表現することはできない。高齢者に多く発生する障害の状態を総称として用いるのが誤認が少ないと考えるから。
◆脳高次機能障害:アルツハイマーなどの若年性痴呆は別にして、医学的用語の方が加齢による疾患と理解されやすく、受け入れやすいのではないか。

単独の用語としてもっとも多かったのは「ディメンチア」で8件あった。「『ED』という前例がある」「エイズがそのまま一般に通用しているように、思い切ってそのまま英語読みでいいのではないかと思う。患者への説明は認知障害だと言えばよいのではないか」「横文字にすることでひとつの医学的用語として受け入れられると考えられるから」などが提案理由となっている。(三和護)

 
wikiは http://sanko4.hus.osaka-u.ac.jp/~sinohara/pukiwiki/index.php?%C7%A7%C3%CE%BE%C9
 
で、あえて「呆け」を選択する当事者家族も。
痴呆名称問題(社団法人呆け老人をかかえる家族の会
 

では、最も当事者に近い関係者はというと、参考人として呼ばれた、呆け老人をかかえる家族の会の高見国生代表だろう。25年前に発足した時に、会の名を痴呆と呆けのどちらにするか議論した。「痴呆では冷たく親しみがないが、『じいちゃんがボケてきた』というように、呆けには身近で暖かみがある、ということで決めた。改名は遅きに失したと思うが大賛成。今では社会的にも通用するする呆けに統一すべきだ」。しかし、ある医師から「組織名などにボケというのはどうか・・・・」とすげなく言われて、討論の場からは無視されてしまう。
そもそも、この言葉の被害者は、当事者であり、その家族であるはず。改名の話の出発点は当事者の声ではなかったのか。動機がいつの間に消えているかのようだ。高見代表の要望が全く受け止められない。意外だった。
http://www.nikkei.co.jp/neteye5/asakawa/20040921n879l000_21.html

 
病名はだれのもの??て思ったりもする。むずかしい。