「修復的司法」導入

 

非行少年の支援は対話から…警察庁「修復的司法」導入(2004/8/27 読売新聞)
 
警察庁は来年度、非行少年の立ち直り支援策として、取り調べ段階で加害少年と被害者を直接対話させる「修復的司法」を試験的に導入することを決めた。
この手法は1980年代から欧米を中心に普及し、非行少年の更生と、犯罪被害者の心のケアの双方に効果を挙げている。 同庁は、法制度が異なる日本でも有効かどうか検証するため、関連費用など5億3000万円を来年度予算の概算要求に盛り込む。

修復的司法は、犯罪被害者が、事件で受けた精神的ショックや加害者に対する心情を打ち明けることで、恐怖や憎しみといった心の傷を和らげるとともに、加害者には、動機や謝罪の言葉を述べさせて自らの責任を自覚させることで、更正や再犯の防止につなげる手法。
欧米では、少年による刑事事件を中心に、被害者と加害者の合意の下、研修を受けたコーディネーターが立ち会った上で、双方が直接対話している。家族や地域の人たちが同席し、対話を支援することもある。

政府が昨年12月に策定した「青少年育成施策大綱」は、非行少年の処遇の過程に修復的司法を応用できるか検討するよう求めており、警察庁は今年4月、有識者で作る調査研究会を設置し、具体案の策定を進めてきた。今回、警察庁が導入を検討しているのは、少年同士の恐喝や暴行など比較的軽微な犯罪が対象。

加害者が家裁に送致される前の段階で実施し、コーディネーター役に警察官や少年補導員を充て、保護者や付添人の弁護士らも同席する。
同庁は近く、欧米各国に職員を派遣して、こうした制度を研修させる予定。今年度中にコーディネーター役のマニュアルを作成する。来年度には全国で約200の少年事件を選んで試験的に実施し、それらの結果を検証した上で、本格導入の是非を検討する。