「脱薬物」教育にモデル 再犯防止に向け法務省作成へ(朝日新聞 2004.9.25)
 
覚せい剤などの薬物事件で服役した人が、出所後に再び薬物に依存することを防ぐため、法務省は各刑務所に任せていた教育プログラムを根本的に見直し、モデルとなるプログラムや教材を作ることを決めた。薬物を使うようになった体験を語り合うグループワークや、外部講師の指導などを盛り込み、出所後の継続的なケアも検討する。来年度中にまとめ、全国の刑務所に広げる。

同省によると、03年末時点で覚せい剤取締法違反罪での受刑者は全受刑者の約25%に達する。
一度出所し、再び罪を犯して刑務所に戻る「再入者」の約3割は同法違反者だ。
法務省は、薬物依存者への教育を各刑務所に委ねてきた。多くは職員が1〜2週間に約1時間、薬物の危険性を話したり、啓発ビデオを見せたりする程度。覚せい剤事件の受刑者の刑期は大半が1〜3年で、うち3〜6カ月を教育に充てるのが標準的だ。しかし、受刑者が出所後すぐに薬物に手を染める例が後を絶たず、「これまでの教育では不十分」との批判があった。
新プログラムでは、民間リハビリ団体「日本ダルク」や依存者の自助グループ「NA」などの民間団体から講師を招くほか、自分の症状を客観的に認識できるように受刑者たちで体験を話し合うグループワークを盛り込む方針で、これを標準モデルとして全国の刑務所に提示する。
これを受け、各刑務所は受刑者ごとの教育方法を決める。在所期間が長い受刑者には標準プログラムを繰り返し実施したり、独自の補足プログラムを組んだりする。
出所後も継続的にケアが受けられるよう、地域の民間団体を出所者に紹介したり情報を交換したりすることも積極的に進めたい、としている。