イレッサ

 
ゲフィチニブ検討会における検討の結果について厚労省トピックス)
 

何もしなかったイレッサ検討会(日経BP 2005.1.31)
 
肝心のデータがきちんと開示されたとはとても言えなかった。確かにアストラゼネカ社側は、英国本社から担当者が来日して、ISEL試験の結果を、スライドを使って説明した。ところが、あまりにもぎっしり詰め込んだスライドだったため、細かなところまで判読するのはかなり難しかった(離れた傍聴席からは特に)。さすがに検討会の委員には、スライドのコピーが配付されたのだが、それも会議終了後に回収するという徹底ぶりだった。
委員からは、検討会に備えるために事前に資料を入手したいという要望が出されており、厚生労働省もそれに応えた。事前に送付された資料の中には、件のスライドのコピーも含まれてはいた。しかし、当日発表されたのは、バージョンアップされたより詳しいスライド。つまり、委員であっても、当日初めて見たデータもあったわけだ。

詳細なデータを明らかにした上で議論すべき場面でそれが行われなかった以上、厚生労働省アストラゼネカ社、それに検討会の委員たちは、結果的に、イレッサという薬自体を“延命”させたことになる。

医薬品審査のボーダレス化と個の医療(個の医療メールマガジン 第26号 2003/12/22)
 
実際、日本の審査センターと、米国食品医薬品局(FDA)の審査官では、実質の審査官の数が1ケタ違うのです。小野氏らの調査によると、日本は176人(2002年)、FDAでは約2600人(1999年)です。
日本では、人不足を解消するため、1人の審査官が多数の医薬品の審査をかけもちで行っています。この少人数で、米国並みの審査期間を達成していると聞けば、誰でも、審査内容の質と、審査官の健康状態が心配になるでしょう。

政府は、審査体制の充実を目指し、2004年4月には、新しい独立行政法人として医薬品医療機器総合機構の設立を予定しています。同総合機構の設立により、審査関連部門、市販後調査部門を中心に、約370人まで増員されます。しかしそれでも、FDAの審査官の数には到底及びません。また、「審査官としての教育にも時間が必要、頭数を増やせば済むというものでもない」とある審査官は漏らしていました。