水俣病新対策

 
公表されました。

小池環境相が全体像を正式発表 総括へ懇談会設置(熊本日日新聞 2005.4.7)
新対策のうち、勝訴判決が確定した原告への医療費は六月中にも支給開始。未認定患者救済については「水俣病認定申請や裁判とは別の救済の道として、選択できるようにした」と述べ、総合対策医療事業の保健手帳を拡充後、今秋にも申請受け付けを再開し、年内には手帳を交付したいとした。
一方、医療手帳の申請受け付け再開の要望には「ケース・バイ・ケースで今後、柔軟に対応していいと思うが、現時点ではできるだけの対応をした」と語り、保健手帳再開にとどめる考えをあらためて示した。

医療費が全額支給になったことには、やっぱり安心しました。
でも、認定基準は見直さない、ですか。
保健手帳の交付には「舌先の二点識別覚障害も包含するような幅広い基準を検討していきたい(柴垣課長)」
国の8割負担で医療費が全額支給される。だけど手帳保持者は水俣病ではなく「症状のある未認定患者」
て、この不自然さはなんだろうと思うのです。ぜんぜん意味ないじゃんって。

同省はもともと、九五年の政治決着に基づく同事業を「国と県の責任論とは別次元の行政施策」と位置付ける。このため「責任論を持ち込むと、行政として説明がつかない」と指摘。行政責任を問う国家賠償請求訴訟の旗を下ろし、苦渋の決断で和解に応じた未認定患者たちを意識する。
迷走 水俣病新対策(1)(熊本日日新聞 2005.4.1)

熊本学園大の原田正純教授も「一時金や月々の手当もなく、水俣病とも認めない、単なる医療費負担にどれだけの人が応じるのか」と疑問を投げかける。
迷走 水俣病新対策(2)(熊本日日新聞 2005.4.2)

水俣病像と補償体系の再検討など根本の議論はなく、結局は判決で生じたほころびを繕うものでしかなかった。また過ちの歴史を繰り返すだけだ」。患者連合の高倉さんはそう言い切る。
迷走 水俣病新対策(3)(熊本日日新聞 2005.4.3)

関西訴訟を支えた熊本大大学院医学薬学研究部の二宮正助手は、そんな環境省の姿勢をばっさりと切り捨てる。「最高裁判決は、水俣病の原因を大脳皮質の損傷と認めた。原因が違うということは、病像がひっくり返ったこと。従来の病像を前提に、認定基準を緩やかにするかどうかという論議は間違いで、医学的に根本から見直す以外にない。加害者と証明された国や熊本県が、被害者かどうかを決めるという制度もおかしい」
迷走 水俣病新対策(4)(熊本日日新聞 2005.4.4)

水俣病と認定されない症状がある人々は、実は「感覚障害のみの患者」だけではない。また、「昭和52年判断条件を満たさない患者」のみではない。
(中略)比較の結果を見ると、判断条件に合致する944人中、実際は205人しか認定されていなかったことが分かる。
『医学者は公害事件で何をしてきたのか ISBN:4000221418

 
「苦渋の決断」するしかなかったのは、どうしてですか。
裁判を続けられたのは“関西”訴訟だったからかもしれないって、思うこともあります…
くるしんだ時間はどうやっても返せない、お金に換えるしかないのが現実だとしても
それでも、ひとの気持ちを踏みにじったままでいいということではないはずです。
 
 
もう「おかしい」て認めたほうが、行政もラクなんじゃあないかなって思う。
ただ、見直しに反対している患者団体もあるって記事もあって。
どうなのかな。熊日でもそういうひとの声は取り上げないのかな。
でも、それぞれの生活も想いもあるのは当然だもの、聞いてみたいけど…
再び混乱を招くようなことは避けたい、ひっくり返せばなにが出てくるかわからない
そんな気持ちもまた切実なんだろな、こんなに時間が経ってるのだから。
知らないから書けるのかもしれないし、ごりごりと正義を押し付けるようなことが正しいなんて
けして思っていない。
 
だけど、このままでいいとはやっぱり思えないな。くすん