中公審 水俣病問題専門委員会

 
第2回は、「ねじれ」と「ずれ」と「食い違い」と「つじつま」と「割り切りの論理」でございます。
思い出されますのは「水俣地方に発生した原因不明の中枢神経系疾患に伴う行政措置について」の

1.水俣湾特定地域の魚介類を摂取することは、原因不明の中枢神経系疾患を発生する虞があるので、今後とも摂取されないように指導されたい。
2.然し、水俣湾特定地域の魚介類のすべてが有毒化しているという明らかな根拠が認められないので、該当特定地域にて漁獲された魚介類すべてにたいし、食品衛生法第4条2項を適用することは出来ないものと考える。(厚生省衛生局長 1957.9.11)

でございましょうか。
このようなトンデモでひとを切った後始末にご苦労なさっている様子をうかがうこともできまして
なかなかに味わい深いものがございます。もうネタにでもしないでは正視に耐えないと申しますか。
それにいたしましても先生方の、この痛みのなさはどうしたことでございましょうね…
 
 
第2回中央公害対策審議会環境保健部会 水俣病問題専門委員会議事速記録(1991.5.30)
22ページ

むしろ判決の中にそう書かれてしまってあるんです。水俣地区に末梢知覚障害が多くて、これが分からんというなら一体何を原因とするか、有機水銀以外には考えられぬではないかという判決を受けた。その判決をそのまま認めてしまうと全部水俣病になってしまうものですから、工夫してこんな表現になっています。(井形委員長)

 
28ページ

何とか理屈をつけてやりましょうよ。早期解決にちっとも役立たない。理論を法律の先生に考えていただいて。(井形委員長)
 
ここは考えたのですが、なかなか難しいなということです。ただ、法律をつくる場合に、どの法律の中でやるのかということも少し関係しますので、現行法の中に入れるのか、全く別法にするのか、というのがありまして、そこはこの前、制度の懇談会では「ウーン」というところで止まっていて、それ以上の議論はまだできていません。これからもう少し勉強します。(浅野委員)
 
小さいことですけれども、疫学条件の中で、魚介類の多食を証明する書類をつくると書いてありますが、これは要するに前に棄却された場合には、そこに疫学条件として出ますよね。だから、それは使えると思うのですが、新たにとるときに、昔食べていましたか、どの程度ですかというのは、なかなか証明しにくいのではないでしょうか。そういう意味では、月に何キロ食べたかとか、自己申告の場合、なくては法律的に困るものなんですね。(加藤委員)
 
おっしゃるとおり、証明といっても、ほとんど証明不可能でしょうね。しかし、これを陳述書でもともかく書いていただくことによって、少なくとも公文書に虚偽の事実を書くというような心理的圧迫の効果はあるだろう。だから、よくよく腹を決めない限りは、下手すれば公文書偽造でやられるよということはあり得るので、それで乱暴な申請を抑制する効果が期待できるかなというぐらいのことです。しかし、ないよりはましだろうと思います。(浅野委員)

 
32ページ

実際問題として、こういう対象者の数が特定できれば、大蔵省への説明も極めて容易になりますし、そこが難しいところなんです。余り手厚い手当をすると、申請者がわっと増える。余り少ない手当をしておくと、今度は裁判で後ろから切りつけられるという非常に苦しい立場に立っておるわけです。(井形委員長)
 
先ほど、これを受ける人は認定申請できないようにしたらどうかとおっしゃいました。問題は、それをやった場合の反応といいますか、そういう予測、アセスメント、その辺はどうでしょうか。(野村委員)
 
やはり批判は非常に強いと思います。(事務局)
 
その点を考慮しないといけないのではないでしょうか。(野村委員)
 
一つは、原告がかなりPRしております和解に対する期待があるのと、熊本県が一時、原告と原告でない人を区別しないという意思表示をしておりますから、そういうことを暗黙にねらって申請をしてくる人か多くなる可能性はあるんです。今十分でなくても、将来何百万円かもらえるはずだという気持ちで、この制度に乗ってくる人は増えてくる可能性はあると思います。しかし、特別医療事業のときもかなりそのような見通しは立てたのです。そういうことをやると、それ欲しさにまた申請者が増えるのではないかといった予測もあったけれども、そのときは余り増えませんでした。実際、これは医療事業ですから、自分が病気でない人はメリットがないわけです。(井形委員長)
 
ですから、一時金がつくかつかないかで反応は随分違うわけです。ついた場合には、収拾不能なぐらいぱっと出る可能性がある。それは額にもよるけれども。(納委員)

 
37ページ

これは最終的に詰めていく段階で検討されることだろうと思いますから、この文章は少なくともかなり生の本音の言葉が出過ぎているのです。例えば「地域指定が解除されていないことが無用な再申請につながっている」。まさに本音なのですが、これは余り表に出さない言葉なので、こういうところは……。しかし、これは水俣だけで考えるのか、それとも、考えていくと、2種全体に広がる話ですから、そこは少し今後の検討の中で、水俣だけの話として考えるのか、ついでに言っておくけれども、この際、2種についても考えなければいけない時期に来ていますよという指摘程度にとどめるのか。そこは腹を決めないと、この書き方ではちょっとあいまいですから、これを敷衍して広げていくというだけではまずいと思います。取り上げるなら本格的にやらなければいけないという問題提起をしなくてはいけませんし、水俣病との関係でさらりと触れるなら、さらりと触れるぐらいにした方がいいので、そこは少し事務局で態度を決めておかれた方がいいのではないでしょうか。(浅野委員)
 
そういう意味では、くれぐれも資料の取扱いについてよろしくご配慮をお願いしたいと思います。(岩尾特殊疾病対策室長)

 
41ページ

健康被害と救済とが絡み合うとか、ソ連チェルノブイリの場合、胃腸障害とか、むしろそういう健康不安に対する治療費で病院に入る人がいます。つい最近、アメリカのEPAの諮問委員会で堂々と、ダイオキシンベトナムを汚染したときの傷痍軍人とかの補償で、ほとんど汚染が水俣と同じように解消されてしまった、そういったときにいたずらに医療費を補償するのはむしろ犯罪的であるという結論を出しているのです。EPAがかなり変わったな、時代も変わってきたなという感じで、そういう点もかなりこれにかかわってくるのではないか。本当に痛い場合は当然出すべきだと思ったりしました。(滝沢委員)

 
 
おまけに38ページ。

先ほどの資料の3の①に関連の指摘ですが、文献資料としてきちんとしたものがあるのでしょうか。先ほどの指定地域の解除のところの指摘ですね。思いつき程度でなくして、何か論文とか文書になったものがあったら、ぜひいただきたい。(野村委員)
 
それはいくら何でもないでしょう。(浅野委員)

 
「ちょっと格好がつかない」て、ぜんぜんついてねーよっ