「原則として断る」

 

HIV感染者への診療、歯科医3割「断る」厚労省調べ(朝日新聞 2005.5.22)
 
全国の歯科医の3割がエイズウイルス(HIV)感染者の診療を「原則として断る」と考えていることが、厚生労働省の研究班(主任研究者=五島真理為・HIVと人権・情報センター理事長)の調べで分かった。これを受けて厚労省は、適切な感染防止策を講じれば問題ないとして全国の歯科医に対し、診療を拒否しないよう求める通知を都道府県を通じて出した。
調査は、04年末までに全国500の開業医や勤務医を対象に実施(回収率88%)。患者がHIV感染者であることが判明した場合、診療を「受け入れる」は33%だったのに対し、拒否が28%にのぼった。残りは「他院を紹介する」だった。
診察拒否の理由は「消毒・滅菌が困難」が4割を超えて最多だった。研究班は「HIVの感染力は極めて弱く、はるかに感染力が高い肝炎対策がとられていれば問題ない」と指摘している。
一方、研究班が今年1月に感染者と患者30人に行った面接調査では、「診療拒否が心配」などの理由から、半数を超す16人が感染を告げずに歯科診療を受けると答えた。告知すると答えたのは5人だけだった。
研究班は「診療拒否は、感染予防として無意味なだけでなく、あらゆる感染症への対策がおろそかになり、むしろ危険だ」として、歯科医の意識を変えるような研修が必要だと訴えている。

 
受け入れているのは約3割、そんなもんだろな、ですけれども。
「ユニバーサルプレコーションが浸透している」て記事のほうが意外でしたもん。
専門知識があるはずの医療従事者が「感染を避けるには断るしかない」と考えてるんですか…
「断る」「断られるから隠す」では治療者にとっての感染予防にならないのは当然で、
そのうえ感染を自覚している患者ばかりでないこともご承知でしょう??
「診ますから、ネガティブの診断書だして」とか、ぜんぜんナンセンスだと思うんですよ。ぶー
 

HIV感染者の歯科診療でユニバーサルプレコーションが浸透(日経BP 2004.12.16)
 

><

HIV感染者の歯科治療の対応では、21施設(52.5%)が「他の患者と同等に行う」と回答。これらの結果から宇佐美氏は、「ユニバーサルプレコーションの概念が浸透し、感染防御の面でHIV感染者の歯科治療自体が特別なことではないと認識されるようになった結果」と考察していた。
なお、過去5年間に歯科治療したHIV感染者数を尋ねた質問では、15施設(37.5%)が「1〜5人」と回答。「11人以上」が1施設あったが、17施設が「0人」、7施設が「不明」で、大部分の施設が5人以下と少数だった。

課題も浮かび上がった。その一つは、歯を削る際に使うタービンハンドピース。「患者ごとに交換」が14施設(35%)だったのに対し、「観血的処置時交換」は20施設(50%)で、交換頻度が十分とは言えない状態だった。
また、半数の施設で歯科医師数より衛生士の数が少なく、歯科治療時の介助における適切な人員という面では不安な面も浮き彫りになった。(三和護)