問題行動

 

文科省:高校生の事件再発防止策、重点プログラムに(毎日新聞 2005.7.6)
 
山口県立光高で男子生徒(18)が教室に爆発物を投げ込んだ事件や、高知県土佐市の私立明徳義塾高の男子生徒(17)による同級生刺傷事件などを受け、文部科学省は6日、再発防止策を検討する省内のプロジェクトチームの会合を再開した。8月をメドに、高校の生徒指導の見直しや情報モラル教育の強化などについてまとめ、策定済みの「児童生徒の問題行動対策重点プログラム」に盛り込む。
同チームは昨年6月、長崎県佐世保市の女子児童殺害事件を受け発足。命を大切にする教育や情報モラル教育の充実などを内容とする重点プログラムを同10月にまとめた。今回の再開は、県立光高のケースなど重大な少年事件が今年6月に5件発生したのを受けたもので、有識者からのヒアリングなどを通じて短期、長期それぞれの対応策を検討する。

><

 
 
事件をきっかけにした検討会発足から、ずっと気になってたんですけど、報告書がでたみたい。

子供の心の病、早期発見へ「検診」導入を提言(2005.6.23 読売新聞)
 
感情を抑制できない「キレる子」の増加など、子供の問題行動の背景や対策を探る文部科学省の「情動の科学的解明と教育等への応用に関する検討会」(座長・有馬朗人元文相)がまとめた報告書素案の内容が22日、明らかになった。素案は「精神の健康を診るための診断テストの研究開発を検討することが必要」と指摘、子供の健康診査の一環として、心の病を早期発見するための「精神保健検診」導入を提言している。
7月にもまとめる最終報告書を受け、文部科学省は、1歳児や3歳児の集団健診、小学校の定期健診などの機会に、従来の身体検診と合わせて精神検診を実施したい考えだ。
医師や保健師などが簡単に記入できるチェックシートを、精神医学や心理学、教育学の専門家らで開発し、早ければ2〜3年以内の導入を目指す。「注意欠陥・多動性障害」を始めとする軽度発達障害などを早い時期に見つけることで、家族が対策を講じやすくする狙いがある。
ただ、一斉検診の導入には抵抗感も強いと予想され、同検討会は「子供たちのプライバシー保護に十分配慮しなければならない」としている。
このほか報告書では、軽度発達障害児童虐待に対する現場の教師の対処方法を確立するため、特定の小学校などをモデル校に指定し、教育方法を研究することも提案する方針。
子供による殺人事件などを契機に子供の心の問題が注目される一方、MRI(磁気共鳴画像装置)などで脳の働きを調べることが可能になった。このため同省は、科学的視点から問題行動についての対策を探る同検討会を今年1月に設置した。
報告書素案は、脳科学の成果が独り歩きする危険にも触れ、「世の中に混乱が起きないよう慎重に情報発信する工夫が必要」と指摘。パソコンやゲームへの熱中が脳に悪影響を及ぼすという「ゲーム脳」説については「さらなる研究が必要」と述べるにとどめた。

この記事では、発達障害=キレるのような印象を与えかねないと思いました。
報告書探したけど見当たらないのでよくわかりませんけれども、「心の病」と発達障害は別ですね??
一斉健診は、集団のなかで「良・不良」「正常・異常」と振り分ける機能をもってしまうことは否めません。
結果、早期治療につながり本人のためになるとしても、です。ですから安易に実施するのは反対です。
早期発見を重視するあまりの健診では、療育支援どころか、ただ非定形の排除を意味しかねないと思います。
 
こうして、急がなくてはいけませんか??
そもそも「精神保健健診」にどれほどの精度が期待できるかも、私にはわかりかねますけれど
なんらかのサポートが必要かどうかは、検診でなくとも教員が気がつくのではないでしょうか??
それからの、特別支援教育での対応でいいのではないでしょうか??

短期に治療可能というのでなく長期のフォローが必要ですし、そのためには周囲の理解のほうが大事でしょう。
幼児期の療育支援であれば、かならずしも診断名を必要としないはずです。
事件のたびに障害名がクローズアップされて危険視されるなかで「精神保健健診」においてハネてしまえば
受け止める親へのサポートにも時間がかかります。すぐに療育支援が始められるとはかぎらない。
 
スペシャルニードがないと言いたいのではないし、それに応える必要はないと言うつもりもありませんが
「問題行動」の抑止とはだれの、なんのためのニーズなのか、が振れてしまわないか不安になるのです。
子どもの資質に問題があるとしてしまえるなら、大人はラクでいい。
でも問題は、子どもの資質にだけにあるのでしょうか、私にはわからない。
そうであったとしても、周囲から孤立してしまいがちな「問題行動」は病的資質なのだから
すべて医療の領域であり、トラブルサムな子どもが特別療育を受けさえすれば解消できる、あるいは
社会の不安への対処として彼らを定型に歩み寄らせるべきであって、そこに支援だけしようというなら
私はちがうと思います。
 
古い記事だけど。

国旗国歌指導の徹底求める 対話集会で中山文科相(産経新聞 2005.3.5)
 

><

中山氏は、全国学力テストの実施などで子どもたちを競わせることについて「競争が悪だというこれまでの教育では、社会の激しい競争についていけない。フリーターや、(働く訓練も教育も受けずにいる若者の)ニートの予備軍を大量に生産することに手を貸している」と指摘。「職業観を子どものころから教えていかなければならない」と述べた。(共同)

 
メモ2つ。

http://homepage3.nifty.com/afcp/B408387254/C174902512/E147077239/(A Fledgling Child Psychiatrist)
1999年7月23日に全日空のジャンボ機がハイジャックされ機長が刺殺された事件の、判決公判が2005年3月23日、東京地裁で行われました。
これまでの裁判の中で提出されていた、被告をアスペルガー障害とする東京医科歯科大学山上皓教授 の鑑定は斥けられ、薬剤の影響を受けた躁うつ混合状態であったとする慶応大学の保崎秀夫名誉教授による鑑定が採用されました。裁判長は被告が心神耗弱の状態であったとして、無期懲役の判決を言い渡しました。
 
この裁判については、アスペルガー障害であるとした鑑定やその報道のされ方などに関して、日本自閉症協会からもお願いが出されていました。

メチルフェニデートに替わる治験中の新薬(Strattera) http://www.adhd.co.jp/sanka.htm (イーライリリー)