障害者自立支援法案

 

障害者自立支援法、やり直すべし──にあたり、遠回りで即効性のないこと幾つか──
 
身体障害の場合は──比べれば、だが──まだよいかもしれない。何ができないかが比較的はっきりするから、それを補えばよいということになる。しかし、精神障害の場合など、外側から見てもよくわからない。これまでの制度はおおむね身体障害の人に限ったものだった。けれども知的障害の人、精神障害の人にも介助は必要である。このことは認められたとしよう。そして人数もたくさんになる。その人たちの生活の何を手伝うということになるのか。その基準が決められるという。しかしこれにはとても難しくそして危険なところがある。その無謀さ、危険さに気がついているだろうか。そんなことは自分でできるはずだと言われ、そうでないことを言いたいが、うまく言えず、言えても聞いてはくれず、聞いてはくれても結局向う側の決めたとおりになる。そんなことが、今も起こっているのだが、もっと、そして制度そのものに組み込まれたこととして起こる。そんなことが、その人たちを暗くさせ、生き難くさせていく。多くの人々は、無駄ではないかと問われればたしかに無駄なことを、しかしいちいちそれを咎めだてられたりすることなく行っている。しかしこの制度では、無駄を出来るだけ省こうとする方向で、問われ、咎められる。
そうしたことごとを、法案を作る側の人たちもまともに考えていないし、案に賛成しそうな(精神そして知的)障害者の(親などの)関係者の団体も受け止めているように思えない。このような気にされなさ、鈍感さ、気にしないでおこうという割り切りが、私にはとても気になる。

 

障害者支援法案:衆院厚労委で可決 原則1割負担に変更(毎日新聞 2005.7.13)
 
障害者にサービス費用の原則1割の自己負担を求める障害者自立支援法案が13日、衆院厚生労働委員会で可決された。サービス利用量が多い重度の障害者ほど、負担額が重くなる定率負担となることに、福祉の在り方として各方面から疑問の声は強い。政省令に委ねられた減免措置の具体的内容も明らかにされておらず、議論すべき課題はなお多い。
障害者は月6万〜8万円の障害基礎年金などが頼りで、市民団体の全国調査では、9割強の人が月額10万円未満しか収入がない。可決された与党の修正案では、障害者の所得保障に関する検討規定が追加され、所得保障の在り方を速やかに検討し、3年以内にその結論を出すことも付帯決議された。方向性をより具体化することが求められる。
また、現行の支援費制度が作った「施設から地域社会へ」の流れを断ち切らないためにも、低所得者への減免措置が必要だ。法案は負担上限を収入に応じて月4万200円▽2万4600円▽1万5000円の3段階に設定。これに加えて、重度障害者やグループホーム入所者らを対象に具体的な減免措置を今後、政省令で定めていく。ただ、その内容は不透明で、衆院では十分に議論が尽くされなかった。
可決された瞬間、厚労委の議場は傍聴に詰め掛けた障害者らの「反対」の声で、委員長の法案名を読む声が聞こえないほどだった。「私たちの命がかかっているのに」と涙声で話す障害者の不安に答えるためにも、厚労省は早急に政省令の内容を含め、対策を示す必要がある。議論を具体的なものにするため、参院での審議が重要だ。【玉木達也】