昔わろうて眺めた月も

 
知人が亡くなったのは
復職してしばらくの、大震災があった年の12月
夜明け前
ブレーキ痕はなかった、遺書もなかった
新聞に事故と載ったけど、そうじゃないのはみんな知ってた
 
だれもわるくないって残酷だ
いまでも、そう思う
 
 
復職を決めた彼女に
仕事なんていつ辞めてもいいよ、とは言えなかった
ちょっとこわい、だけど
そこに希望があるって私も信じたい