「このままでは司法救済を求めて提訴するしかない」

 

国賠訴訟 不知火患者会136人が熊本地裁に追加提訴(熊本日日新聞 2005.12.20)
 
十月三日に第一陣、十一月十四日に第二陣が提訴したのと合わせ、原告数は六百九十人となった。今後も順次追加提訴する方針で、最終的な原告数は千人規模に達する見通し。原告らは裁判所に、関西訴訟最高裁判決をベースにした早期の被害者救済を図るよう働き掛け、三年以内の「司法救済制度」確立を目指す。第一回口頭弁論は十二月二十六日。
第三陣は、三十〜八十代までの男女。かつて不知火海沿岸で暮らしたが、現在熊本、鹿児島両県以外に住む四十四人が含まれる。国と熊本県は一九六〇(昭和三十五)年以降、水質二法(水質保全法、工場排水規制法)などに基づきチッソ水俣工場の廃水を規制する義務を怠り、水俣病被害を発生・拡大させたと主張。チッソは有害な廃水を放流し、住民の安全確保を怠ったとして損害賠償を求めている。

19日の追加提訴で原告は690人になりました。
原告団は「司法での新たな救済システムの構築を目指す」としています。
 
 

自民小委 関係各省に熊本・鹿児島両県財政への支援要請(熊本日日新聞 2005.12.7)
 
非公開であり、出席者によると、鹿児島県が、認定申請から一年(一定症状がある人は半年)経過すると、処分が決まるまで医療費を支給する「治療研究事業」の対象者が本年度は五百二十人(五日現在)に急増したと報告。同事業費の負担割合は現行、国と各県が一対一で、同県の事業費も前年度五十万円から、本年度三千二百万円まで大幅に増加したとした。
その上で「水俣病関西訴訟最高裁判決以降、状況は一変した。判決で鹿児島県は責任を問われておらず、本来なら国に全額負担してほしい。少なくとも新保健手帳並みの国八対県二の負担を求めたい」と強く訴えた。
熊本県も同様に同事業費の急増を強調。国として負担軽減を図るよう求めた。さらに不知火海沿岸の住民健康調査と環境調査の実施も重ねて要望した。同県議会は、十月に申請受け付けを再開した新保健手帳に、通院費支給を加えるなどの改善を求めた。

認定申請者滞留問題 県、来年度年間1000人の検診めざす(熊本日日新聞 2005.12.9)
 
水俣病対策課によると、年間千人の検診を可能にするためには、現在三人程度の検診医を六―八人に増やす必要があるという。必要な経費を同年度の県予算に要求している。
認定審査会については県が「依然厳しい状況だが、前進はしている」と説明したのに対し、県議からは「不作為責任を問われかねない」と早期再開を迫る声が相次いだ。

 
潮谷熊本県知事の「一人ひとりの症状の有無や程度は裁判所の判断を仰ぐしかない」という発言は
認定審査会の機能を否定しているように思えるのですが、600人の医師が集められるのでしょうか…
 
 
 

最近の調査では、小児・胎児性患者の症状は明らかに悪化している。痛み、めまい、耳鳴りなどの自覚症状が激化している。初期には驚くほど自覚症状がなく、一部は症状の改善さえみられていた。年齢とともに自覚症状は増強してきたがそれだけでなく、明らかに客観的にも症状の悪化が見られる。メチル水銀の直接の影響か二次的なものかは問題があるが、事実として筋萎縮、変形増悪、筋力低下などが顕著になっている。薬效がない以上はさらなる介護・援助、対症療法が必要であるが、特別の対策はない。
比較的若い世代に問題が残っている。この40歳台、50歳台は10−20歳台に逃げるようにして、あるいは水俣を嫌って都会へ出て行った。高度経済成長期はそれでも仕事があった。若さで体の不調をカバーしてきた。それがここへ来て,耐えられなくなり、不況はハンディキャツプを背負っている者をはじき出してきた。そのためにUターンする者がでてきた。帰ってくると問題は無いかのように終っていた。
さらに、身体的因子に加えて社会的因子もあって若い層の精神医学的な問題が深刻化している。
 
水俣の教訓から新しい学問への模索(原田正純)