初弁論

 
読めなくなってしまうので。熊日さん、ごめんなさあい(笑)
 
 

国賠訴訟初弁論 原告、「一刻も早く認定を」(熊本日日新聞 2005.12.27)
 
水俣病不知火患者会(大石利生会長、約千四百人)の患者認定申請者が国と熊本県、原因企業チッソに一人当たり八百五十万円の損害賠償を求めた訴訟の第一回口頭弁論が二十六日午前、熊本地裁(横山秀憲裁判長)であり、被告三者答弁書を提出して請求棄却を求めた。これに対し、原告は意見陳述で水俣病と認めるよう訴えた。
横山裁判長は原告側に対し、原告一人ひとりの症状や魚介類の多食状況などの証拠を早期に提出するよう求めた上で「それらを見て、裁判所が基準を設定したい。病像の総論については、過去の判決を提出すれば足りる」などと述べた。
被告三者答弁書で、昨年十月の関西訴訟最高裁判決などを挙げ、水俣病の被害を発生、拡大させた過失責任を認める一方、「原告らは各自の損害の内容や発生状況について何ら具体的な立証をしていない」と主張。原告一人ひとりの症状と水俣病との因果関係を争う姿勢を示した。
また水俣病の病像について、原告側が現行の行政認定基準より緩やかな救済ラインを示した関西訴訟二審判決などに準じるよう求めたのに対し、「最高裁は病像で踏み込んだ判断を示さなかったとされており、(下級審)判例で何らの結論を導き出すことはできない」と反論した。
一方、原告側四人の意見陳述もあり、大石会長(65)は「汚染された魚介類を毎日のように食べたことで、痛みや熱さを感じることができない」と感覚障害を訴え、「一刻も早く救済してほしい」と求めた。
訴状によると、国と県は一九六〇(昭和三十五)年一月以降、水質二法(水質保全法、工場排水規制法)などに基づき、チッソ水俣工場の廃水を規制する義務を怠り、水俣病被害を発生、拡大させたとしている。
最高裁判決後、熊本、鹿児島両県に三千人以上が水俣病の認定を申請。しかし国は認定基準を見直そうとせず、原告らは司法の場で救済を迫ることにした。現在、三陣までに全国十三府県に住む計六百九十人が総額五十八億六千五百万円を求めている。最終的な原告数は千人規模に膨らむ見通し。
次回は来年二月二十四日。

【解説】初弁論 裁判長「基準設定」を明言 熊本地裁(熊本日日新聞 2005.12.27)
 
二十六日に開かれた水俣病不知火患者会(大石利生会長)の国賠訴訟の第一回口頭弁論で、熊本地裁の横山秀憲裁判長は、原告一人ひとりが水俣病かどうかについて「裁判所が基準を設定したい」と明言。原告・弁護団は「私たちが望んでいる司法救済制度づくりの方向に沿った内容」と受け止め、評価した。
原告らの意見陳述の後、横山裁判長は今後の進め方について説明した。国、熊本県チッソの被告三者の責任や病像の総論の立証については、これまでの判例を証拠として提出すれば足りるとした上で、「問題となるのは原告の各論」と指摘。それぞれの魚介類の多食状況や症状などを証拠として提出するよう原告側に求め、基準設定に乗り出す考えを示した。
原告側は、被告三者の責任と病像の総論について「そもそも関西訴訟最高裁判決で確定しており争う余地はない」との立場。一方、原告一人ひとりが水俣病かどうかは、「加害者である行政が被害者を決める行政認定の制度が信用できるはずがない。公正な機関である司法こそ、正当な補償を実現できる場」(大石会長)と主張。この日の意見陳述でも、慰謝料の額も含めて裁判所が決定する司法救済制度の確立を強く訴えた。
弁論後の会見で、園田昭人弁護団長は「裁判所は、私たちの期待を受け止めてくれている」と高く評価。内川寛弁護団事務局長も「和解勧告ではないが、それに匹敵する」と分析した。
ただ、原告側はまだ、診断書などそれぞれの詳しい資料は裁判所に提出しておらず、被告三者答弁書で「原告は各自の損害を具体的に立証していない」と“入り口”で反論している段階。原告一人ひとりの病像について争うことになった際、被告側がどのように主張してくるかは不透明で、すんなりと司法救済へと進むかどうか予断を許さない。

 

損害賠償訴訟 潮谷知事、争う姿勢示す(熊本日日新聞 2005.12.6)
 
水俣病不知火患者会(大石利生会長、約千三百人)の患者認定申請者が国と県、原因企業のチッソに損害賠償を求めた訴訟について、潮谷義子知事は五日の県議会で、「国との協議は必要だが、(原告)一人ひとりの症状の有無や程度は裁判所の判断を仰ぐしかない」と述べ、原告側と和解せずに争う姿勢を明らかにした。
一般質問で、県民クラブの鎌田聡氏(熊本市区)が県の対応方針を尋ねたのに答えた。

 
もうなにがなんだかわからない××
 
どうして司法救済しかないでしょうか。
「加害者である行政が被害者を決める行政認定の制度が信用できるはずがない」
「交渉で国が動かないのは過去の歴史が示している」
を、変えることはできませんか。
勝訴で手にした手帳を返上された方もいます。
その、行政にこそ認定してほしいという想いに、どうして応えられないですか…
 
 
健康調査。

自民小委 関係各省に熊本・鹿児島両県財政への支援要請(熊本日日新聞 2005.12.7)
 
非公開であり、出席者によると、鹿児島県が、認定申請から一年(一定症状がある人は半年)経過すると、処分が決まるまで医療費を支給する「治療研究事業」の対象者が本年度は五百二十人(五日現在)に急増したと報告。同事業費の負担割合は現行、国と各県が一対一で、同県の事業費も前年度五十万円から、本年度三千二百万円まで大幅に増加したとした。
その上で「水俣病関西訴訟最高裁判決以降、状況は一変した。判決で鹿児島県は責任を問われておらず、本来なら国に全額負担してほしい。少なくとも新保健手帳並みの国八対県二の負担を求めたい」と強く訴えた。
熊本県も同様に同事業費の急増を強調。国として負担軽減を図るよう求めた。さらに不知火海沿岸の住民健康調査と環境調査の実施も重ねて要望した。同県議会は、十月に申請受け付けを再開した新保健手帳に、通院費支給を加えるなどの改善を求めた。

06年度政府予算案:八代海環境調査盛らず 沿岸住民の健康調査も/熊本(毎日新聞 2005.12.26)
 
24日閣議決定された政府予算案に県が水俣病対策で求めてきた八代海の環境調査、沿岸住民の健康調査費は盛り込まれなかった。公式確認から来年で50年の節目に医学、社会学的な検証は欠かせないとして、潮谷義子知事は「引き続き国に必要性を強く訴えていきたい」としている。
水俣病対策で計上されたのは、関西訴訟最高裁判決を受け拡充された「新保健手帳」などの総合対策医療事業費約20億円や、胎児性水俣病患者の生活支援約9900万円などだった。いずれも県の要望が反映された形だが、環境省は環境・健康調査には及び腰で、概算要求にも盛り込んでいなかった。
同省は大規模な調査の代わりに、現在、津奈木町など一部で実施している健康管理事業(住民健診)の拡充を示唆しているが予算上の裏付けは不透明だ。健康・環境調査は被害者団体からの要望も強い。県水俣病対策課は「予算の費目に上がっていなくても、なんとか実施の手だてを講じてもらえるよう要望を続けたい」としている。

 
 
アスベスト

石綿被害、周辺住民も従業員並み補償へ クボタ社長表明(朝日新聞 2005.12.25)
 
幡掛社長は25日、尼崎市内で開かれた「中皮腫アスベスト疾患・患者と家族の会」の会合に出席し、患者・遺族ら約70人を前に謝罪した後、新たな補償方針を明らかにした。これまで「従業員並み補償」を求めてきた患者や遺族らは「大きなステップ」と評価した。
会談後に記者会見した幡掛社長は「工場と病気との因果関係は不明だが、否定もできない。しかし石綿を扱っていた企業として道義的責任がある」と話した。
クボタはこれまで「道義的責任」を理由に、周辺住民ら46人に見舞金・弔慰金を支払う一方、工場の操業と周辺住民の石綿疾患との因果関係は認めず謝罪もしてこなかった。しかし、奈良県立医大の車谷典男教授らの疫学調査で、同工場周辺で住民76人が中皮腫で死亡したことが判明。00年以降の中皮腫死亡率は全国の11.7倍に上っていた。
労災対象外となった石綿被害者の救済をめざす「石綿新法」は、石綿が原因の中皮腫や肺がん患者の医療費無料化や療養手当支給、遺族への一時金280万円の支払いなどで与党が合意し、来年度施行に向けて詰めの作業が進む。こうした中、周辺住民の健康被害が集中しているクボタは、より明確に責任を負う必要があると判断したと見られる。

いたずらに時間ばかり掛かるのは避けてほしいし、幅広い救済というのは歓迎すべきだと思いますけれども
引っ掛かったりもする。
行き詰ってしまえば、「道義的責任」より「因果関係は不明」が前面に出てこないともかぎらないと思うからです。
水俣病では来年度も健康調査の予算は下りませんでした。
疫学調査やそれにもとづく検証をしてこなかったことでも、いま行政を身動きできなくさせているように
この問題では、とりあえずの補償さえしてしまえばお終いとならないように…