「この問題を無視したら懇談会の役割を果たしたとは言えない」

 

精神神経学会「認定基準は誤り」懇談会委員に見解送付(熊本日日新聞 2006.2.4)
 
同学会は一九九六(平成八)年から、感覚障害だけでは水俣病と認定しない現行基準の妥当性について検討。現行基準が作られた過程の調査や疫学的手法による検討を重ね、九八年九月に「現行基準の医学的根拠となる具体的データは見いだせず、科学的に誤り。高度の有機水銀の暴露を受けた者は感覚障害をもって水俣病と診断できる」とする見解をまとめた。
中島委員長は「環境省の見解を踏襲するようなことでは、懇談会の本当の役割を果たせないのではないか。科学的な根拠に基づいた公正な議論をお願いしたい」と話している。

環境相懇談会「被害救済」と「再発防止」主要論点に(熊本日日新聞 2006.2.8)
 
この中で、委員の多くから認定申請者の大量滞留を念頭に、「公害健康被害補償法に基づく補償制度は破たんしている」「(現行基準は)水俣病と認めない、除外するための条件だ」「環境省の新対策は過去の轍(てつ)を踏みつつある。最高裁判決を踏まえ、反省と謝罪を前提にしているのか疑問だ」などの意見が上がった。
「再発防止」に関連しては、(1)被害者を支援する行政機関の設置(2)政治決断による危機管理的な規制権限の発動(3)情報の集中と公開(4)水俣病にかかわった行政内部の検証(5)原因者負担の原則では対応しきれない公害を想定した検討などが提案された。さらに、議論の時間延長を求める声も相次いだ。

環境事務次官「認定基準議論は懇談会の使命外」(熊本日日新聞 2006.2.10)
 
環境省の炭谷茂事務次官は九日の定例会見で、水俣病問題を検証する環境相の私的懇談会の役割について「水俣病認定基準(の議論)は懇談会の使命とは考えていない」と述べた。
七日にあった第八回懇談会は、同省が当初から求めていた「再発防止」だけでなく、「被害救済」を今後の主要論点に位置付けることにした。二〇〇四年十月の関西訴訟最高裁判決以降に急増した認定申請者が未処分のまま大量に滞留し、新たな国賠訴訟も提起されたことから、現行の認定基準や補償制度の在り方を疑問視する声が相次いだためだ。
これに対し、炭谷次官は「懇談会発足の趣旨は再発防止のためにどうすればいいかだ」と強調。懇談会で認定基準を議論すること自体には「状況変化があり、触れざるを得ないだろう」と一定の理解を示したが、「認定基準は専門的だし、長い経緯の積み重ねがあり、最高裁判決でも否定されていない。(現行の)認定基準を前提に対策を進める」と従来からの方針を繰り返した。

審査会再開 自民党小委でメディア対策明言 環境省(熊本日日新聞 2006.2.10)
 
九日の自民党水俣問題小委員会で、環境省の滝澤秀次郎環境保健部長が水俣病認定審査会の再開問題に触れる中で「メディア対策」にも言及し、波紋を呼んだ。
滝澤部長は審査会の早期再開への努力を約束した。ただ、「新たな認定申請者団体やマスコミを負担に思う雰囲気がある」と述べ、前委員らが認定申請者団体による国賠訴訟やマスコミの取材を懸念していることを強調。再任への説得材料として「委員に迷惑がかからないよう行政が責任を持ってメディア対策をする」と明言した。
この発言について環境保健部の柴垣泰介企画課長は「審査会には医学的な知見を聞くだけで、あくまで認定や棄却の処分は行政が責任をとるという意味だ」と弁明した。しかし県知事が処分権者とはいえ、実質的にこれまで申請者の認定、棄却を決めてきたのは審査会。その委員を行政がガードするかのような論調と受け取られた。
集団提訴した申請者団体・水俣病不知火患者会の滝本忠事務局長は「国は現行基準を申請者振り落としのための基準として運用している。前委員たちは公に説明がつかないから取材を受けられないのだろうし、だから行政が守るというのだろう」と指摘している。

 
 
議事録はまだ公表されていませんが「茶番劇の当事者となるつもりはない」(亀山委員)は
認定審査会の医師にとっても、ぶっちゃけ本音ではないかしらんって思えるのだけれど…
それを「メディア対策」で、どれほどフォローできるのか、はギモンでなりません。

最高裁判決以降の申請事件、訴訟事件等についての対応そのものは当懇談会の議論外であると考えているが、50年の節目を謳って提言を出した時点で、なお未解決の事案が相当数残っていることになれば、それだけで提言のインパクトは大幅に減殺されざるを得ないと考える。さらに、その後に国側敗訴の判決が出るような事態になれば、提言自体一個の茶番劇と化する。私としては、そのような茶番劇の当事者となるつもりはない。
資料2今後の懇談会についての各委員からの提出メモ(6ページ)

 
 
水俣病公式確認50年事業について、宮本水俣市長は
「一過性のイベントに終わらせることなく、水俣病の教訓を地域でどう生かすかを再構築したい」
としていたけれど、環境省はどうなのでしょうか??