認定基準

arcturus2006-05-28

 

原爆症認定集団訴訟大阪地裁判決についての声明(2002.5.15)
 
さらに今回の判決は、被爆後長く被爆者を苦しめた体調不良を重視し、循環器疾患(心疾患、脳卒中)、遅発性白内障甲状腺機能低下症等の非がん疾患の認定にも大きく道を開くものとなった判決です。
しかし今回の判決で原爆症認定基準の見直しが確定したわけではありません。
私たちは、被爆者のみなさんとともにこの勝訴の喜びを力にして、全国各地で国が控訴しないように要請する運動を直ちに強めることが重要です。
全日本民医連原爆症認定訴訟支援医師団および被ばく問題委員会は、引き続き全国各地裁での裁判を支援し、認定行政の改善による被爆者の全面的救済を求め奮闘していく決意です。

原爆症認定に関する医師団意見書(2004.10.14)

閣議後記者会見概要(H18.05.16)


(記者)
話は変わりますけれども、原爆症認定訴訟の手続きの、これについて厳しい判決が出たんですけれども、そのご感想とですね。
(大臣)
正直内容を今精査している段階ですから、これからの方向がどうなるかということは他の作業もあるから、今申し上げるわけにはいかない。もう少し精査させて下さい。
(記者)
少し時間をいただきたいということ。
(大臣)
内容分析にどのくらいかかるのかね。厚生労働省としても、いろんな経過があってああいう制度にして、しかし、それ自体が裁判所の見解と大きく分かれたということですので、根本論に入りますね。


(記者)
昨日、原爆症原告団の皆さんが厚生労働省にいらっしゃって、自分たちは高齢なので、大臣と直接面会をして、自分たちの考えを大臣に直接伝えたいというふうにおっしゃられていたんですが、直接面会をするという考えはございますか。
(大臣)
基本的に、いろんな問題で、何人かの方々からどんどんどんどん申し込みが、この問題じゃないですよ、いろんな話、しかし、あまりにも間口の広い役所なものだから、直接体制が整わないうちに私が全部聞いてトップダウンで物事を決めていくということについては、なかなか難しい。そういう対応をしなければいけない時もあると思っています。例えば、ハンセン病の問題については、トップダウンでやったけれども、基本的には、やはり仕事というのは、下から積み上げ方式でしょうから、担当局長なり、場合によっては、副大臣政務官によく話を聞いてもらって、調整をしなければならない。また、時期が来れば、私自身が直接話をするタイミングもあるだろう。しかし、うちの考え方がまだ固まらないうちに会ってみても、それですぐトップダウンと皆さん方言われるんだけれども、そうやって手順がありますので、タイミングについてはご理解賜りたいと思っています。ちょうど昨日は、HIV訴訟の原告団とゆっくり話し合う機会が出来たものですから、いい会談が昨日は出来たと思っています。

 
水俣病

補償・救済 終わりなき混迷(12)まず議論を・・・“核心”避ける行政熊本日日新聞 2006.4.6)
 
水俣病補償の枠組みは、一九七四(昭和四十九)年施行の公害健康被害補償法(公健法)と、七三年に患者と原因企業チッソが調印した補償協定で成り立っている。
法に基づき、医師でつくる認定審査会が水俣病か否かを判定し、知事が認定。認定患者には、補償協定により慰謝料千六百万〜千八百万円と年金などをチッソが支払う。これまで熊本、鹿児島両県に認定され補償を受けたのは二千二百六十五人。
認定と補償がリンクするこの制度の原型は、水俣病公式確認から三年後の五九年にさかのぼる。
同年の暮れ、新日本窒素肥料水俣病患者家庭互助会の間で最初の契約が結ばれた。将来水俣病の原因がチッソの排水と分かっても新たな補償を要求しないとする条項を含み、のちに「公序良俗に反して無効」と判示された見舞金契約だ。
契約対象者(患者)を決めたのは、調印の五日前に旧厚生省が臨時に設けた「水俣病患者診査協議会」。同協議会はその後、県条例で知事の諮問機関に位置付けられ、七〇年施行の「公害健康被害救済特別措置法」で、県設置の公害被害者認定審査会に格上げされた。この間、「チッソの補償相手」を決める機能を一貫して担い、認定と補償がイコールとなる構図を固定化させてきた。
ここから、予想しなかった問題が次々に派生した。(1)認定患者の増加によるチッソの支払能力の不安(2)国、熊本県が税金を使ってチッソを支援する矛盾(3)より厳しい認定基準への変更による事実上の認定患者の絞り込み…。医学も行政にすり寄り「認定=補償」を意識するあまり、本来進めるべき発症メカニズムや治療法の研究を怠ったと指摘する声もある。
この結果、認定されない被害者たちは追い詰められていった。未認定患者でつくる水俣病患者連合は八九年、補償協定にうたわれた慰謝料や年金額を自ら減額し、弁護士や被害者も含めた「救済判定会」で救済内容を決めるという案を熊本県チッソに提案した。被害者の高齢化を背景に、譲歩してでも狭き門を広げなければ「現実的救済は進まない」との認識からの苦渋の方針転換。それでも結実しなかった。
現在、認定、未認定の違いで「認定患者」「被害者」と言葉を使い分ける環境省。同省幹部は、今年三月二日の「水俣病問題に係る懇談会」の席上、「認定制度は行政がコントロール不能な(当事者同士の)補償協定と結び付いている。認定制度に限界があるから、その外側に(九五年の)政府解決策に基づく総合対策医療事業などの救済制度がある」と説明した。
“第三者”である行政がチッソの補償対象者を決め、それで救われない被害者を行政施策で救済する。しかし、国と熊本県を「共同不法行為者」と位置付けた二〇〇四年の関西訴訟最高裁判決はその前提を崩した。
判決後に新たな国家賠償請求訴訟を起こし、司法に“水俣病認定”を委ねた水俣病不知火患者会の園田昭人弁護士(51)は「行政は第三者ではなくなった。加害者が患者を選別するシステムでは公正な患者救済などありえない」と言い切る。
三十三年前、補償協定を勝ち取った一次訴訟原告患者らの支援を続ける水俣病互助会の谷洋一さん(57)はこう提言する。「認定制度と補償協定のリンクがネックであるなら見直してもいい。認定者も未認定者も法の下で同じ水俣病患者と位置付け、行政とチッソが共同で補償すれば済むこと。まず議論を始めることが大事だ」
「終わりなき混迷」の根源には、「認定=補償」という核心に触れようとしない行政の姿勢があった。

 
 
 
 
控訴。

原爆症認定訴訟:国が大阪高裁に控訴(毎日 2006.5.23)
 
国から原爆症の認定申請を却下された原告9人が処分の取り消しを求めた訴訟で国は22日、全員について不認定を取り消した大阪地裁の判決(今月12日)を不服として大阪高裁に控訴した。
大阪地裁が総合して考慮すべきだとした原爆症認定基準について、「一般の放射線医学と理解が異なっている」と反論している。