入院患者あたりの看護師、実働数に合わせた表示に改定へ(朝日新聞 2005.11.20)

しかし、実際は看護師は1日3交代で勤務していることが多い。そのため、例えば入院患者が30人いる病院で15人の看護師がいると、現在の表記では「2対1」になる。日勤、夜勤、深夜勤などの勤務実態や1人当たりの労働時間を考慮に入れると1日(24時間)に働く職員数はのべ9人、同じ勤務帯で働く職員は3人になるため、実際の配置割合は「10対1」になる計算という。

看護職員配置基準「1.5対1」新設を、日本看護協会が要求(日経 2005.11.17)

在院日数の短縮化や患者の高齢化・重症化に伴い、看護師の業務が複雑化、高度化していることは、以前から指摘されている。同会では従来から、医療事故を防ぐ意味からもより手厚い看護が必要と主張してきた。
現在の医療法による看護職員の配置基準(一般病床では「3対1」)では、45床の病床(稼働率90%、患者数40人、3交代、2人夜勤)の場合、看護師1人当たり、昼間は約10人、夜間は約20人もの患者を担当することになる。これは欧米先進国よりも多く、急性期医療における看護職員1人が受け持つ患者数を比較したところ、米国0.5人に対し日本は1.7人だった。

医療関係業務の労働者派遣に関する要望事項日本看護協会 2005.11.16)

日本看護協会は、多様な働き方を保障する選択肢の一つとしての派遣労働を否定するものではありません。しかしながら、均等待遇、労働者保護、チーム医療の確保等の懸念される問題に対する実効性のある対策が過大として残されている中で、派遣労働を医療分野に拡大することは時期尚早であると考えますが、一方で、産休・育休・介休の代替要員の確保の手段として派遣労働のニーズは現場には少なからずあることも認識しております。

黒岩祐治の頼むぞ!ナース 第三回 〜 看護配置の実態 〜

今のこのご時世にナースの数を増やせという議論はなかなか厳しいものがあることは事実です。増え続ける医療費をどのようにして圧縮するかが今の最大の課題となっている中で、ナースだけを増やすことなどできるのでしょうか。でもこの部分をクリアしなければ、「1・5:1を!」などと言っても、単なる空疎なスローガンに終わってしまいます。
日本看護協会もかなり知恵を絞ったようです。そして、「看護配置と患者死亡に関連した研究結果」などという面白いデータを引っ張り出して論陣を張っています。それによりますと、患者一人当たりのナースのケア提供時間が1時間増加したら、肺炎の発生率が8・9%低下した。また、ナースの数が1割増加すれば、肺炎の発生率は9・5%も低下したというのです。つまり、ナースの数を増やせば、患者の回復が早くなり、ベッドも効率的に使われるようになる。だから、ナースの増加がそのまま医療費増には直結しないというのです。
確かにナースの数が増えれば、医療の質は向上するに違いありません。しかし、ナースの数を増やすんだったら、一人一人の給料を下げようという話も同時に出てきても不思議はありません。数が必要なら、准看護師や看護助手を増やせばいいという話になる可能性も十分にあります。外国人ナースをもっともっと呼び込もうということも解決策のひとつとして提示されることでしょう。