認定基準

arcturus2006-06-22

 
最高裁判決以降あらたに認定を申請をしたひとは、6月16日までに熊本県で2661人、鹿児島県1351人、新潟県では19日までに13人の、合計4025人になりました。

水俣病問題:現行の認定基準は見直さず 自・公PT(毎日新聞 2006.6.16)
 
自民、公明両党による「与党水俣病問題に関するプロジェクトチーム」(与党PT、松岡利勝座長)は16日、未認定患者に対する救済策について、260万円の一時金と医療費や療養手当を支払う95年の政治解決を基本とし、現行の認定基準は見直さない方針を確認した。1日のPTで松岡座長は同様の考えを示したが、受け入れないことを決めた地元患者団体もあるため、与党として方針を再確認した。松岡座長は「国や県には(与党方針に沿って)全面解決に向けて最大の努力をしてもらう」と話した。

 
基準の見直しがないままでは、4025人のうち認定されるひとは、たぶん少ないだろうと思います…
なにが「現実的」であって「全面解決」なのか、さっぱり××
 

2ヶ月前の記事。

水俣病50年:救済・補償、見直し論議再燃 危機感募る地元、中央と温度差/熊本( 2006.4.25)
 
■懇談会紛糾
「認定基準を守るか守らないかではない。最高裁判決で行政と司法の二重基準が生じていることは厳然たる事実。それにどう始末をつけるかが行政の責任だ」。21日に環境省であった水俣病に関する懇談会。「最高裁は認定基準を否定しておらず、医学的にも妥当」と繰り返す環境省の担当者を、委員の亀山継夫・元最高裁判事が猛然と批判した。
水俣病研究者で久留米工業大教授の丸山定巳委員は、認定審査会が休止したままになっている問題に言及。「メチル水銀の影響があるかだけでなく、補償の程度まで医師に判断を求めたため混乱している。補償は患者団体、法学者も含めた場で決めるべきだ」と提案した。懇談会は11回を数えるが、提言に補償問題を含めるかで事務方と委員のせめぎ合いが続いている。
■自民は苦悩
懇談会が始まる1時間前、東京・霞が関の隣、永田町の自民党本部では県選出国会議員と県議、県の水俣病担当者らが顔をそろえていた。表向きは、地元県連が水俣病慰霊式に首相代理の出席を要望するという趣旨だったが、救済問題について中央と意見交換することが本来の目的だった。
県議側からは「議論のたたき台に」とある試算が示された。
国賠訴訟で行政側が敗訴した場合の賠償総額と、新たな未認定患者対策として交付されている医療費全額助成の新保健手帳に、手当や一時金をつけた場合の支出額などだった。これに対し、国会議員側からは「始めから金勘定をすべきでない」「(95年の)政府解決策との兼ね合いが難しい」と前向きな発言はなかった。危機感を募らせる地元と中央の温度差が目立った。自民党水俣病問題小委員長の松岡利勝衆院議員は会合終了後、「救済をどうするかは現時点では白紙。財源が絡むことだから……」と悩ましげな表情を浮かべた。
■審査委員は
もともと自民が救済策の検討に入ったのは、公明の水俣病問題小委員会が「新保健手帳にプラスアルファが必要」との見解を示したため。なんらかの拡充が図られる可能性が高いが、両党とも認定制度自体の見直しには否定的だ。
前認定審査員の1人は再任に難色を示す理由をこう話す。「審査会が再開したとして認定申請者の棄却が相次げばマスコミから棄却審査会と批判を受けるだろう」。新保健手帳拡充だけで認定基準が変わらなければ問題の根本は変わらない。「昨年、環境省に補償制度の見直しができないかと話したことがある、しかし『チッソと患者の補償協定に行政は介入できない』という話だった」。事態打開にはさらなる政治の決断が求められている。


政治的決着案。

救済策 「芦北の会」受け入れへ 「政治決着」並み実現条件(熊本日日新聞 2006.6.6)
 
水俣病の認定申請者約二百十人でつくる水俣病被害者芦北の会(村上喜治会長)は五日夜、芦北郡芦北町で臨時総会を開き、一九九五(平成七)年の政府解決策と同内容の被害者救済策が実現した場合、受け入れる方針を確認した。与党水俣病問題プロジェクトチーム(PT)が、救済策の具体化へ向け検討に入ったのを受けた。
二〇〇四年十月の関西訴訟最高裁判決以降に発足した四つの被害者団体で初の態度決定となる。ただ、この救済策には、他の被害者団体だけでなく与党内にも異論があり、実現するかは不透明だ。
計石公民館であった臨時総会には会員約五十人が出席し、村上会長が「(救済策の具体化は)まだスタートだが、最初から拒否すれば実現はない。これまで会が望んできた内容であり、まずはありがたく受けとめたい」と報告。会員からも「これ以上の要求は難しい」などの意見があり、大筋での受け入れ方針を確認した。一時金の額など条件面の対応は村上会長らに一任した。
また、同会は「政治決着と同様の救済は私たち被害者、地域にとって最も素晴らしい解決策であると確信している」として、救済策の実現を求める潮谷義子知事あての要望書を近く提出する。
現在、熊本、鹿児島両県で認定申請者が約三千九百人に上る一方で、両県の認定審査会は休止状態。新たな救済策は、事態を打開する“第二の政治決着”として、熊本県と県議会が与党に実施を要請した。被害者への一時金に加え、医療費と療養費を支給する医療手帳の交付再開が柱。PTは一日の会合で検討に着手することにした。
同会は〇五年二月に津奈木町、芦北町、水俣市などの認定申請者で結成。「政府解決策並みの補償」を国、県に働き掛けている。

水俣病:政府解決策並み新救済策、実現向け要望書提出−−芦北の会、県などに/熊本(毎日新聞 2006.6.10)
 
同会は今月5日に政府解決策並みの救済策が実現すれば受け入れることを全会一致で決めている。要望書では、一時金260万円が付き、医療費が無料となる医療手帳を含む政府解決策の再開は「素晴らしい解決策と確信している」と強調。「政府解決を苦渋の決断で受け入れた方々は敬うべき先達。政府解決を超える救済を求めるつもりはない」としている。

法廷闘争継続へ 不知火患者会弁護団が方針(熊本日日新聞 2006.6.10)
 
国と熊本県水俣病の原因企業チッソに対し損害賠償請求訴訟を起こしている水俣病不知火患者会弁護団は九日夜、熊本市で会合を開き、与党水俣病問題プロジェクトチームが具体化へ向けて検討に入っている“第二の政治決着”を受け入れず、訴訟を継続する方針を決めた。十一日に原告団も交えて水俣市で開く集会に諮り、不知火患者会としての態度を正式に決定する。
園田昭人弁護団長ら弁護士十五人が出席し、非公開であった。園田団長によると、(1)二〇〇四(平成十六)年十月の関西訴訟最高裁判決で行政責任が確定しており、一九九五年の政治決着時とは状況が異なる(2)救済対象者であるかどうかや、補償内容を公平に決めることができるのは司法の場しかないなどの意見が続出。訴訟を継続し、従来通り司法による新たな救済システム確立を目指すことで一致した。

「水俣病不知火患者会」与党の救済策拒否、訴訟継続へ(読売新聞 2006.6.11)
 
95年の政治決着に伴う救済策は、260万円の一時金支給などが柱。集会では、患者会から「水俣病と認定されないままでは救済策は受け入れられない」「95年の政治決着は国、県の責任があいまい」などと救済策への批判が相次ぎ、「問題解決のためには公平、公正な司法救済しかない」との結論で一致した。

水俣病被害者互助会が提訴へ 与党の救済策、実現困難に(朝日新聞 2006.6.14)
 
水俣病の認定申請者でつくる水俣病被害者互助会(熊本県水俣市)は、11月にも国と熊本県、加害企業チッソを相手取り、損害賠償を求めて提訴する方針を固めた。自民・公明両党の水俣病問題プロジェクトチーム(PT)が打ち出した95年の政治決着と同等条件での救済案は拒否する。与党PTは被害者4団体の受け入れを前提としているが、拒否は2団体目となり、与党がこの方針を変えない限り、救済策の実現は一層困難な状況になった。
互助会の会員は115人。原告は20〜30人で、水俣市などに住む30〜40代が中心になる見込み。現行の補償制度では、行政の患者認定により、チッソから1600万〜1800万円の補償金が支払われるため、1人あたりの損害賠償額を最低1600万円に設定する。
行政責任を認めた関西訴訟最高裁判決の賠償額は1人あたり450万〜850万円だが、「若い被害者もおり今後が心配。判例にはとらわれない」などとしている。早ければ7月に弁護団会議を開き、詳細を詰める。
一方、PTの救済案は検討中の段階だが、95年の政治決着では260万円の一時金と療養手当が支給された。座長の松岡利勝衆院議員(自民)は今回の救済策について「全面解決にならないと意味がない」などとして、最高裁判決後の申請者らで組織された地元の被害者4団体がそろって受け入れることが必要との姿勢を示している。
4団体のうち、70歳以上が約8割という水俣病被害者芦北の会(同県津奈木町、約210人)は「死んでからの救済では意味がない」と受け入れを表明。最高裁判決後の国の新対策に加え、一時金700万円の支給を求めてきた水俣病出水の会(鹿児島県出水市、約1700人)も救済案を受け入れる方針。
しかし、互助会とすでに提訴している水俣病不知火患者会水俣市、約1600人)は、水俣病の認定や行政責任など、95年の政治決着であいまいにされた部分の明確化にこだわり、救済案を拒否する方針。
PTは今週末、救済案を検討する予定だ。被害者団体の対応が分かれている現状では全面解決につながらないことから、PTが具体的にどのような救済内容を案に盛り込むかが焦点になる。

水俣病:“政治決着”拒否、大勢に 出水の会、国賠提訴も視野(毎日新聞 2006.6.19)
 
水俣病認定申請者団体「水俣病出水の会」(鹿児島県出水市、約1800人)は18日、与党の水俣病問題プロジェクトチーム(PT)が検討している「第二の政治決着」案を受け入れず、国家賠償請求訴訟を視野に入れ、対応を協議することにした。当初は受け入れに前向きだったが、ほかの認定申請者2団体が受け入れを拒否しているため「PT案による解決は実現性が低い」と判断、方針を転換した。
水俣病関西訴訟の最高裁判決(04年10月)後に発足した認定申請者4団体のうち、受け入れを明確にしたのは水俣病被害者芦北の会(熊本県津奈木町、約210人)だけとなり、PT案による解決はさらに厳しくなりそうだ。
出水の会は、最高裁判決後も認定審査会が再開されず、救済が進まないため提訴の準備をしていた。しかし6月1日に与党PTが「95年政治決着並み」の救済策検討を表明すると「一時金(260万円)や団体加算金などが95年政治決着と同条件ならば受け入れ可能」という姿勢を示した。
出水市内で18日にあった弁護士との交流会に約200人が出席、今後の方針について議論した。終了後、尾上利夫会長は「PT案は現実味が薄れ、団体加算金支給も確約されていない。できるだけ早く提訴する方向で対応したい」と話した。【平野美紀】

「被害の全容解明を」 互助会2団体が環境省と交渉(熊本日日新聞 2006.6.20)
 
一次訴訟原告らでつくる水俣病互助会(諫山茂会長)と、現在認定申請中の被害者でつくる水俣病被害者互助会(佐藤英樹会長)は十九日、水俣病被害の全容解明や水俣病認定制度の抜本的見直しなどを求め、環境省と交渉。認定基準の見直しを拒否する同省や、一九九五年の政府解決策並みの政治決着を求める熊本県の姿勢を批判した。
両団体の代表や支援者ら約二十人が東京・霞が関の同省に、江田康幸環境副大臣を訪ね要望書を提出。同省特殊疾病対策室の青木龍哉室長らと交渉した。
両団体は、関西訴訟最高裁判決後、新たな認定申請者が約四千人、新保健手帳の交付申請者も約四千人に上る現状から、被害の広がりを指摘。まずは、不知火海沿岸住民の健康調査など被害の全容解明が不可欠と強調した。
しかし、同省は沿岸の健康調査の実施に慎重姿勢を示すとともに、最高裁判決が事実上否定した現行の認定基準について「判決は認定基準の是非には触れておらず、見直す考えはない」との見解を説明した。
これに対し、諫山会長らは「法治国家ならば、最高裁判決に従うべきではないか。判決に沿って救済策を検討すべきで、行政責任を認めなかった九五年の政府解決策を、行政責任が確定した今、再び持ち出すのは筋が通らない」と抗議した。
さらに、九五年の政府解決策に応じた被害者団体も現行の認定制度を批判している現状を指摘。「水俣病かどうかは、被害の全容を解明した上で認めるもので、交渉事で認めるようなことではない」と訴え、認定制度の問題点を明らかにする被害者や医師らによる検証会議の設置を提案した。
両団体は、原因企業チッソの本社も訪問。加害責任の検証や補償協定を確認するための定期的な会合の開催などを要求した。

「水俣病」住民の心複雑 認定見直し態度割れる 賛成30%、反対29%(西日本新聞 2006.6.15)
 
調査は無作為抽出した市民2000人を対象に、5月中旬から下旬にかけて郵送で調査票を配布・回収する方式で実施。860人から回答を得た(回収率43%)。
2004年の水俣病関西訴訟最高裁判決に沿った患者認定基準の見直しを国が否定していることに関しては、「見直すべきだ」が30.0%、「見直す必要はない」が29.2%と拮抗)。「わからない」は36.6%だった。
地元には、既に認定された患者、1995年の政府解決策を受け入れた未認定の被害者などがおり、被害者といっても立場はさまざま。調査結果は、問題解決の難しさの一端を物語っている。


懇談会。

水俣病問題:恒久的な救済制度確立、環境相懇が求める(毎日新聞 2006.6.21)
 
この日の議論で出席委員は、公害健康被害補償法(公健法)に基づく現行の認定基準を「見直すのは現実的でない」などの認識で合意。一方、未認定患者の救済について、一時金支給などによる政治決着では「一時的な解決策に過ぎない」などの否定的な意見が大勢を占めたという。その上ですべての被害者を救済するには、公健法など従来の補償・救済制度とは別に、国が新たな救済の枠組みを作る必要があるとして、その点を報告書に盛り込む方針で一致した。新救済策のための特別立法を求める意見もあったという。

懇談会 被害者への補償・救済、「恒久対策必要」で一致(熊本日日新聞 2006.6.21)
 
さらに、与党水俣病問題プロジェクトチームが熊本県の要請を受け、一九九五年の政府解決策並みの政治決着を検討していることに対し、「九五年と同様、後から課題が噴き出すことになり、一時的なもので終わってしまう」と否定的な見解で一致したという。
柳田氏は終了後、「これまで対策が出るごとに、それから漏れるすき間がどうしてできたのか。すき間のない補償・救済の大枠をどういう方向性で提言するのか議論している」と説明。ただ、「国は認定基準の見直しを拒み続けており、基準見直しを提言しても現実味が薄い。新たな枠組みの中に、現行基準をどう位置付けるかなどまだ課題がある」と語った。