食べること

 
と、医療費削減と、業界と、国民の責務と…

 

食育基本法が成立 食生活改善・伝統食復活へ取り組み(朝日新聞 2005.6.10)


子どもの「食」に関する教育に国や自治体が取り組むことを定めた「食育基本法」が10日午前の参院本会議で自民、公明、共産各党などの賛成多数で可決、成立した。民主、社民両党は反対した。
内閣府に首相を会長とし、新設する食育担当相ら関係閣僚と有識者で構成する食育推進会議を設置、食育推進基本計画をつくるほか、都道府県や市町村にも、推進計画の作成に努めるよう求めている。
食への理解を深めるための体験活動や、伝統的な食文化への配慮などを盛り込む一方、「国民の責務」として、「生涯にわたり健全な食生活の実現に努め、食育の推進に寄与するよう努める」と定めた。
同法は自公両党が昨年の通常国会議員立法で提出した。民主党は「『食』は個々人の選択と自由に任せるべきで、国家が介入すべきではない」などとして反対した。

学校でも家庭科とかで新カリキュラム組むでしょうか??
どうなんだろな。そんなマズいかな、ごはん。マズいんだろな、たぶん。うう。
でも実際法律でなんとかできるものでもないし習慣って身体で習うものだし。
給食の時間につらい想いをする子どもがでるようなことは、ないようにしていただきたいです。
 
食育基本法と、各省の食育情報ページ。

(国民の責務)
十三条 国民は、家庭、学校、保育所、地域その他の社会のあらゆる分野において、基本理念にのっとり、生涯にわたり健全な食生活の実現に自ら努めるとともに、食育の推進に寄与するよう努めるものとする。  

農水省 http://www.maff.go.jp/syokuiku/index.html
厚労省 http://www.i-kosodate.net/mhlw/i_report/eat_edu/index.html
文科省 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/04011501.htm
 
欧米の危機感はクリアでわかりやすい。生保も。

肥満者の保険料、引き上げます(個の医療メールマガジン 第41号 2004/04/19)
 
4月6日、生命保険会社の大手、スイスSwiss Reinsurance社が、生命保険会社として肥満の健康障害を無視することができないという報告書を発表しました。今後、肥満による死亡リスクの調査などを行なった上で、肥満の健康障害に見合った保険料を設定する必要があるとしています。

禁煙者と喫煙者で、生命保険の掛け金に差をつける動きが、一般化していますが、今後は、肥満というキーワードでも、保険料に差が生じそうです。生命保険会社間の競争が厳しいことからも、肥満者の掛け金を引き上げることは難しいと予想されるため、実際は、非肥満者の掛け金が相対的に安くなる可能性があります。適性体重の維持という、普通の健康管理さえできれば、掛け金が安くなるというキャッチコピーで、新しい保険商品がお目見えするのかもしれません。

 
で、こゆう余計なことは言わないほうがいいと思うのですよ。

食育基本法の考え方〜なぜ今「食育」なのか武部勤
 
本法案には、日本食の伝統が日本人の心を培ってきたことから、伝統食や優れた食文化の継承も盛り込んだ。食を追求すると日本人の心の故郷がわかってくる。自然の恵みに感謝する気持ち、自然の脅威を畏れる謙虚な気持ちが日本人の精神の柱になっていると思う。
「いただきます」「ごちそうさまでした」というのは、生産者だけではなく自然の恵み、食材を運んでくれた人、料理してくれた人すべてに感謝する言葉だ。日本社会が荒廃しているといわれる今、食育を通して心豊かな日本を再生したい。「食」という字は「人を良くする」と書く。日本人の持つ繊細さや優れた文化を理解すれば、豊かな社会が実現できると思う。

 
 

ファストフードは肥満とインスリン抵抗性のリスクを高める、15年間の調査から(日経BP 2005.1.11)
 
米国では、肥満が健康と経済に及ぼす影響が非常に大きな問題となっている。毎年30万人に過剰な死をもたらし、少なくとも1000億ドルの医寮費が過剰に支払われている。肥満した若者の増加は、糖尿病予備軍の増加を意味する。
当初からずっとファスト・フード店の利用が少なかった人(週1回未満、203人)に比べ、15年間頻繁に利用した人(週2回以上、87人)では、その間の体重増加の平均が4.5kg多く、インスリン抵抗性も約2倍になっていた。得られた結果は、ファスト・フードの消費が肥満と2型糖尿病の強力なリスク因子であることを示唆した。

米内科学会、肥満の薬物療法と外科的治療のガイドラインを発表(日経 2005.4.28)
 
これまで、日本では米国のような病的肥満はあまり見られなかった。が「食育」不足が肥満成人のみならず肥満小児をも量産しそうだ。小学校で食生活と健康に関する知識を与えれば、将来の医療費増を大きく抑制できるのではないか。

「医療費を増やす病的肥満や生活習慣病を防ぎたい」で十分でしょ??
それと「食文化の継承」はムリっぽいです。『食卓は語る』ですから。残念っ
おもしろかった記事。

数字・うら読みななめ読み 第6回「安全な学校給食」って?(2)(日経BP 2004.5.12)
生協あたりは大きな意味での「食」を考えないで「安全」ばっかり考えている。「木」を見て「森」を見ていないんです。「木」という一つの部分の安全、それは大事なことですが、「森」全体をどう作るかという設計図がないと、関西の大手生協みたいに「無農薬の輸入食品」路線に突っ走ってしまったりします。

 
欧米の食育事情
 
 
アメリカの2005年食事ガイドライン
「体重コントロール、頑強な筋骨形成とバランスのとれた栄養摂取による慢性疾患予防」を目指したもので、
「摂取カロリー制限」と「運動量増加」が強調されているそうです。
毎日の、1人ひとりの意識の問題なので、ガイドラインがあればいいってもんじゃないですけれども…
 

EC委員会、ジャンクフードCMの自主規制を業界に要求(日経BP 2005.2.2)
 
EC委員会は、ジャンクフードのTV CMの自主規制の方法について、6カ月間にわたって業界代表との話し合いを続けてきた。その間、EUの健康・消費者問題担当委員Markos Kyprianou氏は、合意に至らなければ法律制定をいとわないと警告してきた。EU食品飲料業連合に代表される業界に対して、同氏は約1年という期限を示した。その間に明らかな変化が見られなければ、立法化を準備するという。同氏によると、これまでのところは、業界からポジティブな反応が得られている。

タバコでもそうでしたがEU委員会ってスゴいんですね。
CMといえば、フランスはアルコールの広告にもかなり厳しいと読んだことあります。
規制がなければ食生活くらい自身で管理できないのかというのももっともですけれど、
無節操なCMに晒されながら意識を変えるのは、やっぱりむずかしいかもしれません。
日本では、カルビーが食育活動としてスナックスクールを実施しています。モスもしてたかな。
悪者扱いされるまえに「じょうずに付き合って♪」を出しておきたいでしょう。出張授業もしているみたいです。
 
「地産の旬を食べる」が理想なら、徹底するのは無理でもファストフードは悪すぎというのはわかりますです。
吉牛が「国民食」ていうのもなんだかな。
「わかっちゃいるけどやめられない」し、えらそーなこと言えないですけど。
『ファストフードが世界を食いつくす ISBN:479421071X』おもしろかったですよ。
 
便利ということの前になにを手放したのか考えなければいけない、て口で言うのはたやすいけれども。
環境負荷の高い「食」を右手にスマドラを左手に、「健康であれ」なメッセージを受け流す生活を考えるとき
むなしささえ感じてしまう。「食育」になにができるだろうって。
 
 
 
で、特定保健用食品における疾病リスク低減表示も制度が見直されて(食安新発第0201003号)、注目市場…

「医師がサプリや機能性食品を薦めて疾病リスクを減らす時代になった」(BP 2005.1.27)
 
「現状のトクホは、高めの血圧やコレステロールを下げるなど、効果指標が薬と同じ。疾病の予防的な面は評価されない。疾病にいたる前段階でのリスク増加がわかるバイオマーカーを見出すことが必要」と吉川教授はいう。

トクホ市場、2兆円規模に拡大する可能性(BP 2005.1.28)
 
梶本助教授はトクホの将来を展望して、「混合診療が解禁されれば、トクホ市場が一段と伸びる」とし、「医師が生活習慣病予防にトクホを利用するようになれば、トクホ市場は現在の2倍以上の2兆円規模に拡大する」と予測。その時、医師が使いたくなるトクホ商品の条件を示した。

新聞広告を見ていると、ほんとに多いです、この1・2年でかなり増えてると思います。
最近はなにかとゆーと「エビデンス」て。
でも、やっぱり“噛むこと”を要求する食事は基本、です。わかってますです、はい。
で、今後の業界の注目ワードは「解毒」て。マッチポンプ♪とかは言っちゃだめです(爆)
疾病リスク低減表示も食育もいいんですけどね
でもRoHs指令のような化学物質の規制を先に考えなければいけないのではないでしょうか。

EU:来夏からローズ規制 電子機器、6物質の使用禁止に(毎日新聞 2005.2.21)
 

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ローズ規制の実施後にEUが導入を予定する包括的な化学物質規制が「REACH(リーチ)」と呼ばれる制度だ。
81年以前に市場に出た化学物質は評価が不十分だったとして、これらの物質(1トン以上)を含む製品の製造業者や輸入業者に対し、その性質や安全性を評価し、EUの専門機関に登録することを義務付ける。新規開発物質と同等の措置で、EUは評価結果に応じて、製品への使用制限や使用禁止措置をとる。
日本は化学物質審査規制法(化審法)などで、国が化学物質の有害性などを審査している。国ではなく企業に化学物質の安全性の立証責任を負わせる「発想の転換」(経産省)がリーチ規制の最大の特徴だ。EU各国が規制案の妥当性を検討しており、日本化学工業協会は「06〜07年の間に成立する可能性が高い」と見ている。
だが、日本や米国政府は「経済活動が阻害される」などと反発し、見直しを求めている。ある日本企業幹部は「対応にはコストも時間もかかる」と漏らす。経産省によると、化学物質のリスク評価には1物質当たり数千万〜1億円が必要だという。同省は「登録データを共同利用できるようにするなど、企業の負担が軽減されるよう働きかけを続ける」方針だ。
これに対し、環境NGO「化学物質問題市民研究会」の安間武さんは「ローズ規制やリーチ規制は企業の代替品開発を促し、経済発展にもつながる。危険性が確実でなくても規制するという予防原則の考えに基づいた政策で、日本も見習うべきだ」と話す。

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私たちが自らの生活を見直さなければいけないのは、そうだと思うけど、行政はどちらを向いているかなって。
 
 
 
介護施設では、法改正で施設の食費が自己負担となる10月から
1人ひとりの状態に合わせた栄養ケア・マネジメントが介護保険制度に導入されるようです。
負担を求めるさせるからにはサービスも向上させなければ、かな。
実施するかどうかは施設の判断なので、どれくらい取り組まれるのかわからないけれど
「食べる楽しみ」て、身体にもこころにもとても大事だと思います。
「人手・経費が足りない」をエクスキューズに「ゼイタク言うな」と言わんばかりの食事ではやっぱり××

介護施設で個別に「栄養ケア」厚労省が導入へ(朝日新聞 2005.6.26)
 

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口から食べる「経口栄養」を、高齢者の「活力源」「生きがい」として重視。とくに、かんだりのみこんだりできずにチューブで栄養をとる経管栄養を受けている人には「口から食べたい」という希望が強いため、経口栄養への移行計画づくりや、食事を工夫する取り組みも介護報酬の対象にする。
近く介護報酬の具体的項目や金額を決定、各施設は10月1日から仕組みを導入できる。当面は入所者が対象で、デイサービスについては来年度始まる介護予防に合わせて検討する。

厚労省によると、特別養護老人ホームの栄養士数は0〜2人(常勤換算)の施設が半数。栄養士1人あたりの入所者数は「50人以上」が4割近い。このため新たに栄養士を配置するなど態勢整備も報酬の対象にする。
こうした個別対応にはコストがかかるため、施設によっては入所者の負担が増える可能性もあるが、特養入所者の8割を低所得者が占めるなど、過大な負担は求められない。
一部には、調理機械導入などでコストを削減し、独自に個別指導をしている施設もある。施設側もこうした効率化を迫られそうだ。

エックスヴィンのような高齢者を対象にした宅配も増えてくるかな。
 
予防医学的なアプローチを否定するつもりはありません。
未病を維持することに価値があると考えるのは自然なことと思うし、欧米では、かなりシフトしているのでしょう。
「死ねば病まない」とかブラック言うつもりないけれど、ただ「限界はある」を忘れては危ういとは思います。
「産めよ殖やせよ」なスローガンの下、病者が非国民扱いされるとか言うつもりもないです。
ただ、「産まない女性には年金を払う必要はない」とか「にせ患者」みたいな痛みのない発言がされたり
トンデモな業病観がひょっこりでたりするメンタリティに、つながらなければいいなと思うだけです。
「健康増進」が悪いとは思わないけれど、かならずしも疾病を正しく理解してもらえるとかぎらないなかで
先天性疾患患者などがつらい想いをしなければいけないことに、つながってしまわないように。
 
 
 
健康増進法なんてのもあります。

(国民の責務)
第二条 国民は、健康な生活習慣の重要性に対する関心と理解を深め、生涯にわたって、自らの健康状態を自覚するとともに、健康の増進に努めなければならない。

自らの健康増進に勤めることは「国民としての責務」て、くらくらしちゃいます。
受動喫煙防止と、健康食品などの表示規制についてはわかるんですけど。
東京都のHPはなんだか親切です♪健康増進法と健康食品とか。
古い記事ですが、こゆうのをあわせて読むとちょっと楽しいかも。
トクホ第1号から10年(日経 2003.11.28)
食品のエビデンス発表は「より厳密に」(日経 2003.12.12)
どうして、タマネギには効用表現が許されるの?(日経 2003.12.19)
 
食育にかこつけてたまってたURLの整理してるだけみたいだけど。そうなんだけど。ついでに。

健康食品の表示に注意 都の試買調査で89%に関係法令に違反または違反の疑い(日経BP 2004.9.29)
 
東京都が実施している健康食品の試買調査で、89%に関係法令に違反または違反の疑いがあることが明らかになった。今年5月17日から6月4日にかけて実施したもので、対象食品80品目中71品目に違反あるいは違反の疑いが見つかった。
違反などの率が高かった関係法令は、JAS法59%(対象80品目中47品目)、景品表示法54%(対象80品目中43品目)など。2つ以上の法令に違反か違反の疑いがあったのは、80品目中54品目(68%)に及んだ。また、成分検査の結果、80品目中3品目(4%)に医薬品成分を検出した(8月19日公表)。

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グレープフルーツジュースがもつリスクを再警告(HealthDayNews 2005.1.21)
 
警告を発した米ロチェスター大学医療センターの看護学臨床准教授Amy Karch氏によると、このような危険性は患者向けの情報に記載されているが見逃されやすく、情報提供者として頼られている医師も薬剤情報のめまぐるしい変化に対応できていない可能性がある。

メチル水銀:魚介類などからの耐容摂取量、従来の6割に−−食品安全委(毎日新聞 2005.6.8)
 
魚介類などの食品を通じて体内に入る「メチル水銀」について、摂取し続けても健康に影響の出ない耐容摂取量を、1週間に体重1キロ当たり2・0マイクログラム(マイクロは100万分の1)とする試案が8日、政府の食品安全委員会汚染物質専門調査会(座長・佐藤洋東北大教授)で示され、大筋で了承された。従来の耐容摂取量(同3・4マイクログラム)の約6割となる厳しい値だが、国連の専門家会合が03年6月末に出した同1・6マイクログラムは上回った。

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「あれダメこれダメ言うてたら、なんにも喰えん。好き嫌い言わずにぜんぶ喰え」てひともいましたが(笑)
食がヒトにとって大切なものであることは疑いえません。とくに子どもにとっては…
基本的には「なに食べようと大きなお世話」だけど、ライフスキルとして食育は必要なのかもしれません。
ただ、行政に求められているのは、なにより食品の安全性についての科学的根拠のある情報と、
それを正確に広報することであって「日本人の心の故郷」みたいな精神論の押し付けではないはずです。
そんなおまじないで便利さを手放せるとも、「健康増進」できるとも思えません。
どーしてこんなうだうだ書いてるかって、「アタシの勝手だ、ほっといて」は簡単にいえないからです。
ぎちぎちと自己責任を問われたり、医療費抑制のために「健康であれ」と言われてしまうことに
怖さを感じるからです。
 
 
ついで2。

食卓の向こう側・第5部 脳、そして心へ<9>過食症(西日本新聞 2005.5.8)
 
コンピューター断層撮影(CT)で白く映し出された脳は、溝の部分に黒い影が食い込んでいるように見えた。それは、脳が委縮している証拠だ。血が通わず認知症(痴呆症)になった場合に似ている。
ここは、北九州津屋崎病院(福岡県福津市)青春期内科の診察室。
「黒い部分は、脳細胞が死んでいるってことだよ。分かるかな」医師森崇(69)が、ゆっくり説明する。向き合っている患者は高校二年の女の子だ。
過食症で、夕方から食べては吐くという行為を繰り返し、朝を迎える。人さし指の付け根辺りにできた「吐きダコ」が、その場面を連想させる。カリウムやナトリウムなどを含む体液まで吐き出すから、早く治療しないと、栄養が欠乏して脳の委縮が進み、意欲喪失、物忘れなど認知症と同じような状態になりやすい。
青春期内科は、患者の四人に一人が過食症。診察に訪れた時点で、その二割程度に脳の委縮がみられるという。

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脂肪吸引を「死ぬよ」で止めたら、つぎは「エフェドラほしい」て言う…
 
 
おまけ。

「人生に影響」1位はインスタントラーメン 50代後半(朝日新聞 2005.6.25)
 
調査は今年5月、インターネットで調査日現在で56〜58歳の男性を対象に実施、計1013人から回答を得た。
「以下のモノ・事象で、あなたの人生に影響を与えたと思うものをすべてお答え下さい」との質問で、選択肢には1950年代〜80年代の主な出来事や流行など46項目が並んだ。結果は58年の即席めん、60年に本放送が始まったカラーテレビの登場などが上位に入った。少年期から青年期に重なった高度成長期の出来事が心に焼き付いているようだ。
1位 インスタントラーメン登場 40.6%
2位 カラーテレビ登場     37.2%
3位 ボウリングブーム     36.5%
4位 東京オリンピック     35.7%
5位 ベトナム戦争       31.4%

「人生に影響」て。びみょー(笑)